道予算編成について鈴木知事に申し入れ
自民党道連、道議会自民党・道民会議議員会は1月31日、道の令和4年度当初予算編成を前に、鈴木直道知事に申し入れを行いました。
道連からは喜多龍一会長代行、千葉英守総務会長、松浦宗信政務調査会長、笠井龍司同会長代行、吉川隆雅同会長代理、大越農子同筆頭副会長、自民党・道民会議からは八田盛茂議員会長、中野秀敏幹事長、久保秋雄太副会長、三好雅政策審議委員長、太田憲之同筆頭副委員長の11名が出席しました。
冒頭、喜多会長代行が鈴木知事に申し入れ書を手渡し、「コロナ禍でも道政課題は山積している。道民の命と暮らしを守りながら、ゼロカーボン、デジタル化など、社会変革の動きを道民生活の向上につなげるフロントランナーとして、道政を力強くけん引していってもらいたい」と発言しました。
その後、松浦政調会長が感染症対策、ゼロカーボン北海道、インフラ整備、赤潮被害対策、縄文・アイヌ文化の振興など全14項目の重点政策について説明しました。2030年冬季五輪・パラリンピックについては、「先般、招致に向けた推進本部を立ち上げた。札幌市などとしっかり連携して、実現に向けた取り組みを進めていただきたい」と強調し、1定に議員提案で提出予定の「北海道スポーツ推進条例」を踏まえたスポーツ振興への取り組み強化を要望しました。
鈴木知事は「申し入れいただいたすべてが重要課題と認識しており、真摯に受け止め、予算編成に反映したい」と述べました。
道に対する申し入れ事項の主な内容は次の通りです。
1. 長期化する新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、引き続き基本的な感染症対策を徹底するとともに、保健所体制の強化、検査・医療提供体制の確保、感染症患者の受入病床や軽症者用宿泊施設の確保等に万全を期すこと。特に、感染力の強い「オミクロン株」については、時期を逸することなく迅速な対策を講じること。
併せて、ワクチン接種については、集団接種会場の設置も含め、迅速かつ円滑に接種が進むよう取り組むこと。
2. 長期化するコロナ禍で、依然として厳しい経営状況に置かれている企業・事業者に対する資金繰り対策や雇用を維持するための対策について十分な予算措置を講じるとともに、事業者の実情に十分配慮した早期執行や手続きの簡素化などを図ること。
また、引き続きテレワーク導入への支援やワーケーションの推進、サテライトオフィスの誘致、生産拠点や本社機能の移転の推進などに取り組み、地域への移住・定住の拡大と関係人口の創出を図ること。
3. 地域における人材の確保・育成を図るため、働き方改革や生産性・経営力向上に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援を強化するとともに、体系的な職業教育の実施や、ものづくり人材、デジタル化に対応する人材、グローバル人材の育成などを産学官一体となって取り組むこと。併せて、女性が働きやすい環境の整備や、高齢者・障がい者、外国人材など多様な働き手の就業促進に向けた支援を強化すること。
4. 道内経済のさらなる成長と発展を図るため、本道の強みである食関連産業の一層の振興を図ること。併せて、スマート農業・自動走行などSociety5.0の実現に資する生産性向上・イノベーション創出への支援や、航空宇宙産業の推進等に取り組むこと。
また、地域振興や産業、医療、教育などあらゆる分野での利便性や効率性を向上させるため、デジタル化・DXの取り組みを強化するとともに、行政サービスの向上と業務の効率化、働き方改革に資する、道庁自らのデジタル化を推進すること。
5. ゼロカーボン北海道の実現に向けては、脱炭素化や新エネルギー導入等の取り組みが、地域の活性化や環境と経済の好循環に結びつくよう、戦略的に進めること。
併せて、温室効果ガス削減に重要な役割を果たす本道の森林の整備を着実に進めるため、間伐及び路網整備に対する支援や、豊かな森を次代につなぐ着実な植林への支援、担い手の育成・確保について十分な予算措置を講じること。
6. コロナ禍で引き続き厳しい状況が続く観光関連産業に対する各種支援の継続や、コロナ収束後を見据えた、案内標識やウェブサイトの多言語対応、Wi‐Fiのエリア拡大、観光人材の育成などを着実に推進するとともに、2023年に開催が内定している「アドベンチャートラベル・ワールドサミット」の成功に向けた取り組みを強化すること。
7. 道民の暮らしと経済に重要な役割を果たしている交通体系については、地域の声を十分反映した地方鉄道路線のあり方に関する適切な対応をはじめ、観光振興や防災・減災に資する各種道路網の整備、空港や港湾の機能強化など、必要な社会資本整備を推進すること。特に、コロナ禍で厳しい状況に置かれている交通事業者に対する支援の充実を図ること。
8. 強靱な北海道をつくるため、各種防災施設の整備、建築物の耐震化などのハード対策と、ハザードマップの見直しや防災訓練の実施などのソフト対策を着実に推進するとともに、道路や河川などの適切な維持管理、老朽化したインフラの整備、交通安全施設整備などに必要な予算を十分に確保すること。併せて、発生の切迫性が指摘されている「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」に備えた地震・津波対策を強化すること。
また、これら公共工事の入札に当たっては、人件費や資機材価格のコスト増嵩分を十分に反映するとともに、地場企業の受注機会の確保に向け、適切な要件設定を行うこと。
9.わが国の食を支える本道の農業、水産業の発展に向け、計画的な基盤整備や所得の安定・向上対策、担い手の育成確保、ブランド力の向上、輸出体制の強化、販路拡大に取り組むこと。併せて、野生鳥獣被害対策や防疫体制を一層強化すること。
特に、近年の漁獲量の低迷を踏まえ、増養殖など栽培漁業の推進や秋サケの資源回復など、将来にわたる持続可能な生産体制の構築に努めるとともに、赤潮被害対策に引き続き取り組むこと。
10.引き続き感染症に対応している医療機関や医療従事者等に対し十分な支援を講じること。
また、厳しい経営状況に置かれている医療機関への支援や地域の医師・看護師確保、介護従事者の確保による高齢者福祉対策の強化、子育て支援の充実、障がい者福祉の推進など、どこに住んでいても安心して暮らせる医療・社会福祉施策の充実を図ること。
併せて、生活困窮者、ひとり親世帯への支援や、ケアラー・ヤングケアラーへの適切な支援策を講じること。
11. コロナ対策を契機として、学校のICT環境の整備を一層進めるとともに、教員の育成・確保、遠隔教育の充実、幼児教育、特別支援教育、私学教育の振興など、教育施策の推進に必要な予算を十分確保すること。また、いじめや虐待の早期発見など、子供たちの心と体を守る取り組みを一層強化すること。
12. コロナ感染症の状況を見極めつつ、世界文化遺産となった「北海道・北東北の縄文遺跡群」や、「ウポポイ(民族共生象徴空間)」への誘客促進を図り、その効果が地域の活性化や道内の観光振興につながるよう施策を強化するとともに、それぞれの地域が持つ文化の継承と振興を図ること。
13. 東京オリンピックにおけるマラソン・競歩、サッカー予選の開催効果を検証しつつ、スポーツに最適な本道の気候や環境を積極的にアピールし、各種大会や合宿の誘致などに繋げる取り組みを進めるとともに、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けた取り組みを札幌市と連携して進めること。
また、道産子アスリートの育成強化を図るため、スポーツ関連施設の整備や競技力向上に資する事業の拡充、学生の全国大会への参加などに対する支援の充実を図ること。
14. 北方四島での「共同経済活動」五項目の実現に向けた取り組みを進めるとともに、北方領土に対する各種啓発活動の強化、領土教育の充実など国民世論の喚起や、元島民の方々に対する支援、北方領土隣接地域の振興を図ること。