道当初予算編成について知事に申し入れ
自民党道連、道議会自民党・道民会議議員会は2月1日、道の令和3年度当初予算について、鈴木直道知事に新型コロナウイルス感染症対策や速やかなワクチン接種体制の構築、厳しい状況に置かれている道内企業や事業者への支援、災害に強い強靱な北海道づくり、カーボンニュートラルを見据えた施策の推進など計14項目の重点政策について申し入れをしました。
出席したのは、道連から竹内英順会長代行、八田盛茂幹事長、田中芳憲政調会長、自民党・道民会議から佐々木俊雄議員会長、𠮷川隆雅幹事長、笠井龍司政審委員長の6名。
竹内会長代行は鈴木知事に申し入れ書を手渡し、「道民や業界・団体からわが党に寄せられた多岐にわたる要望などを踏まえ、14項目の政策として取りまとめた。長期にわたるコロナ対策で道財政も厳しい状況だが、最前線で取り組んでいる医療機関や医療従事者への支援、道内企業や事業者への支援、何より道民の皆さまの健康と暮らしの安心を第一に、しっかり取り組んでいただき、予算に反映していただきたい。道内におけるワクチン接種に向けた体制整備についてもお願いしたい」と述べました。
続いて田中政調会長が、申し入れの概要について説明。新型コロナウイルスの感染拡大防止や、厳しい状況に置かれている道内中小企業・事業者等に対する支援の強化をはじめ、デジタル化や脱炭素社会に向けた新たな成長戦略の推進、一次産業の振興、医療福祉の充実、教育施策の推進、アイヌ、縄文、北方領土問題など本道固有の歴史・文化に関する施策の充実などについて、必要な予算を確保するよう求めました。
鈴木知事は「申し入れをいただいた項目は、すべて道政上の重要課題。真摯に受け止め、予算に反映させたい」と応じ、感染防止対策に万全を期しつつ、円滑で確実なワクチン接種体制づくりや北海道ブランドの国内外への発信強化などへの意欲を示しました。
道に申し入れた14項目の重点政策は以下の通りです。
一、長期化する新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、これまで実行してきた様々な取り組みを検証し、得られた知見や客観的データも踏まえ、引き続き感染症対策、検査・医療提供体制の維持に万全を期すこと。
また、国内でワクチンが承認され次第、速やかにワクチン接種が実施できるよう、市町村や医療機関と連携し、必要な体制を構築すること。
二、コロナ禍において、厳しい経営状況に置かれている企業・事業者に対する資金繰り対策や雇用を維持するための対策について、十分な予算措置を講じるとともに、テレワークやEコマースなど、新たなビジネススタイルに対応した支援の充実を図ること。
また、既存企業の事業所などの廃止・撤退が相次いでいることから、こうした影響が最小限となるよう取り組むとともに、ワーケーションの推進、サテライトオフィスの誘致、生産拠点や本社機能の移転の推進など、移住・定住の拡大と関係人口の創出を図ること。
三、地域人材の確保・育成を推進するため、働き方改革や生産性・経営力向上に取り組む中小企業・小規模事業者に対する支援を強化するとともに、体系的な職業教育の実施や、ものづくり人材、デジタル化に対応する人材、グローバル人材の育成などを産学官一体となって取り組むこと。併せて、女性が働きやすい環境の整備や、高齢者・障がい者、外国人材など多様な働き手の就業促進に向けた支援を強化すること。
四、道内経済のさらなる成長と発展を図るため、本道の強みである食関連産業の一層の振興を図ること。また、航空宇宙産業の推進、スマート農業、自動走行など、Society5.0の実現による生産性向上・イノベーション創出への支援を強化するとともに、デジタル化に対応した新たな組織体制を構築し、施策の充実を図ること。
五、カーボンニュートラルの実現を見据え、再生可能エネルギーの低コスト化や、エネルギーの地産地消、水素社会の構築、蓄電池の開発、カーボンリサイクル、洋上風力発電の拡大など、本道の強みを活かした「グリーン成長戦略」を推進し、環境対策と経済成長の両立を図ること。
六、感染症の拡大によって影響を受けている観光関連産業に対する各種支援や、公共交通をはじめとする観光インフラの維持に係る支援を継続・拡大すること。併せて、コロナ収束後を見据え、案内標識やウェブサイトの多言語対応、Wi-Fiのエリア拡大、地域における観光振興の担い手となるDMO や観光人材の育成などを着実に推進すること。
また、本道の魅力を世界に発信する大きなチャンスである、本年9月開催予定の「アドベンチャートラベル・ワールドサミット」の成功に向けて取り組むこと。
七、災害に強い強靱な北海道をつくるため、各種防災施設の整備、建築物の耐震化などのハード対策と、ハザードマップの見直しや防災訓練の実施などのソフト対策を着実に推進すること。併せて、道路や河川などの適切な維持管理、老朽化したインフラの整備、交通安全施設整備などに必要な予算を十分に確保すること。
また、公共工事の入札にあたっては、人件費や資機材価格のコスト増嵩分を十分に反映するとともに、地場企業の受注機会の確保に向け、適切な要件設定を行うこと。
八、わが国の食を支える本道の農業、水産業の発展に向け、計画的な基盤整備や所得の安定・向上対策、担い手の育成確保、ブランド力の向上、輸出体制の強化、販路拡大に取り組むこと。併せて、野生鳥獣被害対策や防疫体制を一層強化すること。
特に、農業の生産性向上に大きな役割を担う、「パワーアップ事業」に係る十分な予算を確保するとともに、漁業においては、漁獲量の低迷を踏まえ、増養殖など栽培漁業の推進や秋サケの資源回復など、将来にわたる持続可能な生産体制の構築に努めること。
九、北海道の水源涵養と地球温暖化防止にも貢献している本道の森林の整備を着実に進めるため、間伐及び路網整備に対する支援や、豊かな森を次代につなぐ着実な植林への支援、担い手の育成・確保について十分な予算措置を講じること。
また、コロナ禍による建築材等の需要が大幅に減少していることから、各種建築物における道産木材の利活用促進など、需要拡大に向けた取り組みを強化すること。
十、感染症に対応している医療機関や医療従事者等に対し十分な支援を講じるとともに、厳しい経営状況に置かれている医療機関への支援や地域の医師・看護師確保、地域包括ケアシステムの構築、介護従事者の確保による高齢者福祉対策の強化、子育て支援の充実、障がい者福祉の推進など、どこに住んでいても安心して暮らせる医療・社会福祉施策の充実を図ること。
また、感染症が長期化する中で深刻な影響を受けている生活困窮者やひとり親世帯に対し、暮らしを下支えするための支援策を講じること。
十一、コロナ対策を契機として、学校のICT環境の整備を早急に進めるとともに、教員の育成・確保、遠隔教育の充実、幼児教育、特別支援教育、私学教育の振興など、教育施策の推進に必要な予算を十分確保すること。
また、いじめ根絶や心の健康を守る取り組みなど、子供たちの健全育成に向けた施策を推進すること。
十二、「北海道・北東北縄文遺跡群」の世界遺産登録を見据えた取り組みを官民一体となって推進すること。併せて、ウポポイ(民族共生象徴空間)への誘客促進や、開業効果を全道に波及させる施策を強化するとともに、各地のアイヌ文化の継承と振興を図ること。
十三、東京オリンピックにおけるマラソン・競歩、サッカー予選の開催を契機として、スポーツに最適な本道の気候や環境を積極的にアピールし、各種大会や合宿の誘致などに繋げる取り組みを進めるとともに、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けた取り組みを札幌市と連携して進めること。
また、道産子アスリートの育成強化を図るため、スポーツ関連施設の整備や競技力向上に資する事業の拡充、学生の全国大会への参加などに対する支援の充実を図ること。
十四、北方四島での「共同経済活動」五項目の実現に向けた取り組みを進めるとともに、北方領土に対する各種啓発活動の強化、領土教育の充実など国民世論の喚起や、元島民の方々に対する支援、北方領土隣接地域の振興を図ること。