道政課題を多角的に取り上げる


2、道政上の諸課題について

最終答申へどう提言?
(1)市町村合併について
 
高橋議員 市町村合併について、道は地方制度調査会の中間報告に先立ち「北海道の基礎的自治体のあり方」を総務省と地方制度調査会に提言している。これは中間答申にどう反映されるのか。

 
高橋知事 道の「地域内自治システム」の提言は、中間報告に「地域自治組織」として取り入れられると考えている。「協働行政区」は、合併に至らない市町村が道と共同して事務処理を行う仕組みとして提言したもので、今後さらに議論を深めていく必要がある。
 
 
高橋議員 地方制度調査会の11月最終答申に向けて、どのような視点で新たな提言をまとめる考えか。
 
 
高橋知事 基礎的自治体のあり方や合併後の自治の仕組みなど、なお検討すべき課題がある。最終答申に向け「北海道・自治のかたち円卓会議」の場を活用し、市町村とも十分に意見交換しながら、国に対して合併後の自治の形など提言していく。
 
 
高橋議員 知事は「協議を始めていない市町村への関与を、今まで以上に行う」と発言している。市町村が最善の選択ができるようどのように指導力を発揮するつもりなのか。
 
 
高橋知事 道としてはシンポジウムの開催や市町村に対する必要な助言・情報提供を行う。特に合併論議が進んでいない地域については、市町村の意向を十分把握しながら意見交換の場を設定するなど、必要な役割を果たしていきたい。

三位一体改革への評価は
(2)「骨太の方針・第3弾」と地方財政改革について
 
高橋議員 政府の、いわゆる三位一体改革について、どのように評価しているか。
 
 
高橋知事 閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」においては、国庫補助負担金、地方交付税、移譲財源の充実強化を三位一体で行うことを明記し、税源の偏在性が少なく、税収の安定的な税源の移譲、地方交付税の持つ財源保障、財源調整機能の堅持など、これまで道などが訴えてきたことが大筋で受け入れられており、地方分権につながる地方行財政制度の構築を進める上で第一歩となると考えている。
 
 
高橋議員 知事は、この問題について今後どのように国に働きかけていくのか。
 
 
高橋知事 特に広い本道では行政経費が割高となり、財源の乏しい過疎地が多いため地方交付税制度の持つ財源保障機能と財源調整機能は必要不可欠。国の財政再建の視点のみが優先され、地方の一方的な負担とならないよう国に対し必要な要望・提言を行う。

取り組みの決意伺いたい
(3)北方領土返還運動について
 
高橋議員 北方領土返還運動に取り組む決意を伺いたい。
 
 
高橋知事 戦後残された最大の国家課題と認識しており、国民一丸となった返還運動を粘り強く進めることが何より大事。国や関係団体、道民と一体となって運動を前進させていく決意だ。近く根室市などを訪問する予定で、北方四島についても出来る限り早い時期に行きたいと思っている。
 
 
高橋議員 わが党は道連内に北方領土特別委員会を立ち上げ、取り組みを強化する方針。知事も道民一人ひとりの理解が一層深まるようアイデアを出すべきと考えるがどうか。
 
 
高橋知事 多くの道民が気軽に参加できるよう花を生かした北方領土返還運動を展開したいと考えている。具体的には北方領土復帰期成会と協力し、返還運動のシンボルとなる花を選定し、イラストを活用したり、啓発運動において苗や種を配布し、花を見るたびに北方領土返還を思い起こさせるような新しい運動を展開する。今年度は子どもからお年寄りまで幅広く道民の皆さんに花の選定に参加していただく。

高速自動車道の整備は
(4)社会資本の整備について
 
高橋議員 平成16年度の国費予算要望・提言について、どのように臨むのか。
 
 
高橋知事 少子・高齢化への対応や環境重視型社会、高度情報通信社会への移行など新たな視点に立った社会資本の重点的な整備を一層進める。また、道経済の再生や雇用問題への対応、安全・安心の地域づくりにつながる施策の充実に努めることにより、ハード、ソフト両面にわたり「選択と集中」の視点に立って一層の重点化を図っていく。
 
 
高橋議員 12月の「政府・与党整備新幹線検討委員会」に向けて、道民の長年の夢・道新幹線の早期着工実現についてどう取り組んでいるか。また、着工認可に必要なJRの同意、並行在来線の取り扱い、財源負担の問題など基本条件の整備について、どう対処するのか。
 
 
高橋知事 道新幹線が新規着工区間として明記されるよう東北各県、建設促進期成会、沿線市町村、道議会議員、道内選出国会議員の皆さんと力を合わせ全力を挙げて取り組んでいく。並行在来線の経営分離線区については沿線市町村と意見交換を行っており、受益負担についても関係市町村と検討を進めている。
 
 
高橋議員 本道の高速自動車国道ネットワークの早期形成が急がれているが、道は今後どう国に働きかけていくのか。
 
 
高橋知事 道高速道路建設促進期成会の会長として、5月29日に市町村や関係団体とともに道内高速道路ネットワークが早期に形成されるよう国などに要望したところ。今後ともあらゆる機会をとらえて強く訴えていきたい。

知床の世界遺産登録急げ
(5)世界自然遺産登録について
 
高橋議員 知床が世界自然遺産の国内候補地に選ばれたが、登録基準を満たす環境整備のため、道はどのような取り組みを進めるのか。
 
 
高橋知事 知床が最も登録の可能性が高いと考えている。課題も多くあり、地元斜里、羅臼両町、国の機関、関係団体と連携・協力しながら適切に保全するための管理計画の策定に取り組む。

観光集客対策を示せ
(6)SARS対策について
 
高橋議員 SARS対策、観光集客対策を伺いたい。
 
 
高橋知事 「道SARS対策行動計画」を見直すほか、広報体制の強化、道医師会や検疫所などとの連携で感染予防対策の万全を期す。道観光プロモーション協議会など関係団体との連携で国内外、とリわけ台湾、香港など東アジア地域への積極的な観光客誘致活動を展開する。

倒産回避連携強化を
(7)産業政策の推進について
 
高橋議員 道経済戦略会議による経済構造改革の提言と推進方針をどう受け止め、どう展開していこうと考えているのか。
 
 
高橋知事 農林水産業や観光など既存産業の優位性を最大限に発揮し、中小企業の育成や雇用の創出について横断的な取り組みを進めるため、「経済・雇用対策推進本部」を立ち上げた。当面する緊急雇用、中小企業対策や経済・雇用にかかわる重点プランを取りまとめるとともに、企業再生ファンドなどの中小企業対策や一村一雇用おこしなどの雇用対策、北大リサーチ&ビジネスパーク構想の推進による新産業の創出などスピーディーで効率的な取り組みを進める。
 
 
高橋議員 地域レベルの再生ファンド創設の意義について、どう考えているか。
 
 
高橋知事 速やかな企業再生を図る上で大変意義があると考えている。早期のファンド創設に向け、民間の取り組みを積極的に支援していく。
 
 
高橋議員 倒産回避に向けた関係機関などの連携強化について、見解を聞きたい。
 
 
高橋知事 国や関係機関・団体の連携が何より大切なので、道が事務局となって道内19カ所の商工会議所にある「倒産防止特別相談室」、札幌商工会議所の「中小企業再生支援協議会」、道内6圏域の「地域産業支援センター」などとの情報の共有化などネットワークづくりに努める。

新しい米対策にどう対応
(8)農業問題について
 
高橋議員 新しい米政策について、今後どう対応しようとしているのか。
 
 
高橋知事 農政部内にプロジェクトチームを設置、農業団体とも連携を取りながら本道水田農業の将来方向を取りまとめ、産地づくり推進交付金の確保、担い手経営安定対策における生産者負担割合の軽減、長期的視点に立った米生産目標数量の配分などを提案してきたが、「北海道水田農業推進協議会」として北海道の要望実現を国に強く働きかけていく。
 
 
高橋議員 家畜はい泄物対策について、国などに支援策を求めていくべきではないか。
 
 
高橋知事 平成16年度までに整備が完了しない農家が3,000戸程度残る。道は関係機関・団体とチームを早急に設置し指導に当たる。国に施設整備予算枠の拡充や法律が適用される16年11月までに簡易な環境汚染防止策がすべての農家で実施されるよう支援措置の創設を求めていく。応急対策を行った農家が、17年度以降において恒久的な施設整備が行えるよう事業実施を強く働きかけていく。
 
 
高橋議員 野菜産地の構造改革を加速するため、流通経費の問題も含め道は、今後どのように対応しようとしているか。
 
 
高橋知事 各産地において産地改革計画に即し、生産から流通・消費にわたる多様な取り組みを推進することにしている。道の「野菜産地改革協議会」を中心に、改革早期実現を目指して積極的な支援をしていく。
 
 
高橋議員 野菜の価格安定制度の対象となる数量の見直し・増量について、どう対応されるのか。
 
 
高橋知事 道産野菜の生産・流通の動向や産地などの意向を十分踏まえ、タマネギなどの輸入監視品目を中心に約60,000トン増量することとし、必要な経費を今回補正予算に計上した。

生産の維持拡大目指せ
(9)沿岸漁業の振興について
 
高橋議員 沿岸漁業と漁村地域が担う役割について、どう認識しているか。
 
 
高橋知事 沿岸漁業は本道生産量の約七割を占める中心的漁業であり、漁村は漁業生産基地ばかりでなく、海洋レクリエーションや保養・学習の場としての役割も担っている。沿岸漁業の振興と漁村の活性化に向けた取り組みを積極的に進めていくことが大切だ。
 
 
高橋議員 生産維持拡大の目標を達成する上で大きなウエートを占める沿岸漁業の振興策を、具体的に伺いたい。
 
 
高橋知事 TAC制度による漁獲量制限のほか、再生産のための産卵期の漁獲規制、また、資源増大に向けた栽培漁業の推進策としてニシンやマツカワなどの種苗放流、魚介類の産卵場や幼稚魚生息場の造成などを総合的に実施していく。

再生への課題解決を急げ
(10)石狩開発について
 
高橋議員 石狩湾新港地域の開発、石狩開発鰍フ再生について、どう認識しているか。
 
 
高橋知事 石狩湾新港地域の開発は、本道有数の産業拠点として着実に企業集積が図られており、石狩開発鰍燒ッ事再生法に基づき資産評価額を超える債務の免除や道の百億円の出資、金融機関の債権の株式への切り替えなどからなる再生計画がまとまっている。道も百億円の出資について債務負担行為の議決をいただき、今議会に提案している。石狩開発鰍ヘ用地の分譲や賃貸を一層推進し、企業立地を促進していかなければならない。
 
 
高橋議員 石狩開発轄ト生をめぐる課題解決に、どのように対応しようと考えているか。
 
 
高橋知事 「港湾物流特区」の全国第一号の認定を受け、さらに「リサイクルポート」の指定を受けるなど立地環境に明るい兆しも見えている。関係者と連携しながら課題解決に取り組んでいく。

一般債権者などへの影響は
(11)北海道住宅供給公社問題について
 
高橋議員 特定調停申し立てに至ったのは、どういう理由によるものか。経緯を明らかにしてほしい。
 
 
高橋知事 「公社のあり方検討委員会」で住宅供給事業からの撤退方針と資産処分計画の推進、借入金返済の努力を進めてきたが、一部債権者から債権の全額繰上償還請求の意向が示されたことや、資産の減価、資産処分の停滞などがあり、平成14年度の公社決算においてさらに大きな債務超過の状況に至った。一般契約者への影響を最小限に食い止めるため16の金融債権者のみを相手方として債務処理などを協議する特定調停を申し立てた。
 
 
高橋議員 一般や自治体などの債権者に影響を及ぼすことはないのか。
 
 
高橋知事 金融債権のみを対象としたもので影響はない。今後の調停の進め方などは協議されているが、道として誠意をもって対応する。
 
 
高橋議員 住宅公社と道の責任について、どう認識しているか。
 
 
高橋知事 止むを得ない選択であったが、公社も道も重大かつ厳しく受け止めなければならない。