代表格で質問する山本雅紀議員


地域への影響をどう見るのか

1、道政上の諸課題について

(1)行財政改革の取り組みの見直しについて
1、道民への約束について
山本議員 このほど明らかにされた収支見通しでは、平成20年度からさらに1000百億円の収支不足対策が必要で、知事の道民への約束とは異なる。

高橋知事 18、19年度の集中対策期間で1800億円の収支不足額の解消を図り、赤字再建団体への転落は回避できた。19年度予算は後期高齢者医療制度の創設、金利水準の上昇、道債償還費の増加などの歳出増や歳入減少により、さらに収支不足が見込まれる状況にある。道民へさらなる負担や痛みをお願いすることを、極めて重く受け止めている。

2、道債残高について
山本議員 26年度末の道債残高を、現時点の5兆6000億円から5兆円に縮減するとしているが、この根拠は何か。

高橋知事 20年度から23年度までの前半期四年間で「経費別の対策内容」を着実に実施することで、投資的経費の起債や行政改革推進債の計画的な圧縮が可能になり、この結果、残高をおおむね5兆円程度とすることができる。

3、投資的経費について
山本議員 公共事業のうち補助事業費は毎年10%、直轄事業負担金は五%、公共関連単独事業費も10%それぞれカットされるが、地域経済への影響をどうとらえているのか。

高橋知事 道内経済や雇用、地域に及ぼす影響は大きいが、将来に向けて安定した財政構造の構築は不可欠。今後、道内中小企業の活性化や一次産業の付加価値工場など、地域を元気にするきめ細やかな取り組みを加速していく。

4、人件費について
山本議員 給与の独自縮減で18年度、19年度は10%カットだったが、今回9%カットとした根拠はなにか。

高橋知事 不足する一般財源約360億円程度については赤字再建団体への転落回避のため、職員給与により対応せざるをえないと判断。縮減案は不足する財源を給料の9%、管理職手当て20%の削減で対応する。

5、復元について
山本議員 投資的経費は24年度に復元するのか。

高橋知事 前半期四年間の対策期間終了する時点で、新たな人件費の独自縮減措置は講じないが、投資的経費などはその時点における水準を維持することを前提にした見通しを示している。

試験研究機関の独法化の意図は

(2)道立試験研究機関の独立行政法人化について
山本議員 道立試験研究機関について平成22年4月を目標に非公務員型の地方独立行政法人化する案が示された。この意図と目指す姿は何か。

高橋知事 法人化にあたっては、研究開発機能の強化や行財政改革の視点に立って、抜本的な改革に取り組み、道民生活の向上や本道経済の活性化に向け、一層の機能強化を図る。

地域ぐるみで安全安心の確保が重要

(3)北海道洞爺湖サミットについて
1、安全確保に向けた地域ぐるみの取り組みについて
山本議員 安全・安心の確保については、道警だけではなく、道や関係市町村、地域住民が役割分担して地域ぐるみの取り組みが重要だ。

高橋知事 管理施設の安全確保にための点検項目などを盛り込んだ自主警戒に向けての指針の策定、周知などの取り組みを地域あげて推進する。

2、警備対策について
山本議員 道警が考えているサミット警備の概要、方針はどのようなものか。住民の理解と協力を得るためにどのように取り組むのか。

高橋道警本部長 あらゆる事態を想定した警備計画の策定など準備を進めている。交通規制に伴う地域住民の不安解消や交通総量抑制を図るため、「北海道洞爺湖サミット交通対策推進協議会」を設立するなど、道民生活に配慮した総合的な交通対策を推進する。

行財政改革見直しによる影響は

(4)新しい総合計画について
山本議員 行財政改革の見直し案の方向性が示されたが、計画案にどのような影響があると考えているのか。

高橋知事 このほど示した計画案では、持続可能な行財政構造の確立や、限られた行財政資源の重点的な投入の必要性を一層明確に打ち出すなど、見直しを行った。必要な財源の確保に努めながら、計画の着実な推進を図っていく。

事業費の道負担分は負担可能か

(5)北海道新幹線の札幌延伸について
山本議員 札幌延伸に係わる総事業費約1兆800億円のうち、道負担分3600億円について負担可能なのかが心配されている。

高橋知事 札幌延伸に伴う地方負担については、引き続き国へ地方交付税措置の充実など軽減措置を要望するとともに、歳出・歳入全体の中で調整を図り対応していく。

農業や経済分野でも提案すべき

(6)道州制特区第二次提案について
1、緊急項目について
山本議員 第二次提案の緊急項目は、何としても実行に移さなければならないが、中央省庁の激しい抵抗が予想される。知事の決意を伺う。

高橋知事 提案検討委員会の第1回目の答申で、地域医療、食品表示、水道の三分野で5件の提案を取りまとめた。年内に提案するとともに、実現に向けて全力で取り組む。

2、本提案について
山本議員 検討委員会では環境、観光、地方自治の分野に限定して審議しているが、農業振興や経済活性化などについても提案すべき項目があると考える。

高橋知事 北海道洞爺湖サミットと関連の深い分野を優先して審議している。農業振興や経済活性化などについてもしっかり検討して、国への提案を着実に積み重ねていく。

総合振興局に変える理由は

(7)支庁制度改革について
1、支庁制度改革の意義について

山本議員 14支庁を廃止して、新たに九つの総合振興局、5つの振興局を置く構想が示されたが、改めて支庁制度改革の意義を伺う。

高橋知事 交通・通信網の発達などにより、住民活動や産業経済活動が広域化し、市町村合併、市町村への権限委譲など支庁を取り巻く環境が大きく変化している。環境の変化への的確な対応や効率的・効果的な組織改革が求められる中で、支庁の所管区域の見直しや本庁から支庁への権限委譲といった取り組みと併せ、より広域的な観点から地域政策の展開ができるように、支庁の組織体制を整備したい。

2、町村会などの意見聴取について
山本議員 歴史的な大改革なので、町村会や市長会、議長会からも意見を聴くべきだ。

高橋知事 「新しい支庁の姿(原案)」についても、町村会や市長会などに内容説明を行い、意見を聴きながら検討を進める。

3、総合振興局と振興局の違いについて
山本議員 支庁を総合振興局に変えなければならない理由は何か。本庁や市町村との関係はどのようになるのか。

高橋知事 新しい支庁の所管区域は6つの「連携地域」を基本としているが、道央地域は胆振・日高を一つの支庁とし、他は石狩・空知、後志の2支庁とした。道北は宗谷を1つの支庁とした。総合振興局は地域の実情に応じた道行政の執行や所管区域内の調整を担い、地域事務は支庁で完結できるように権限委譲に取り組む。地域住民との関係は振興局、市町村や関係団体との関係は総合振興局が基本的に対応する。

4、公職選挙法との関係について
山本議員 公職選挙法が改正されなければ、支庁設置条例は施行できないと考えるがどうか。

高橋知事 まず支庁設置条例を改正し、所管区域の取り扱いを明確にすることが、公職選挙法の改正につながる。条例と法律との整合性が保たれるように総務省と協議を行っている。

5、教育局の再編について
山本議員 教育局は総合振興局単位に設置し、5つの教育局は廃止される。この目的と理由を伺う。

吉田教育長 地域が抱える教育課題に、積極的に対応できる体制と機能強化を図るため、市町村への支援機能の維持向上、教育行政の総合窓口機能の維持、効率的な執行体制の確立の3つの視点に立ち、支庁再編の新たな所管区域に併せて再編する。

札医大の定員枠に上乗せして活用を

(8)地域医療対策について
1、医育大学の定員増について
山本議員 医育大学の定員増に関して、北大や旭川医大はいつまでに決まるのか。見込みがないならば、札幌医大の定員枠に上乗せをして活用すべきだ。

高橋知事 平成21年度の定員増について、旭川医大からは前向きに検討するとの意向が示されたが、北大からは困難との回答があった。このため札幌医大は20年度に5人の定員増を図るが、残りの10人は21年度ですべて活用したい。

2、公立病院改革ガイドラインについて
(1)再編ネットワーク化について
山本議員 道は独自に「自治体病院等広域化・連携構想」づくりを進めているが、国の改革ガイドラインとの整合性をどう図るのか。

高橋知事 今後、それぞれの地域で道の構想と国のガイドラインの考え方を踏まえ、検討協議会でその整合性を保ちながら十分に協議することが必要と考えている。

(2)庁内連携の場づくりについて
山本議員 庁内一体となって公立病院の改革を進めるためには、道立病院、医療政策、道財政、市町村財政を担当する部局による検討・協議の場が必要だ。

高橋知事 自治体病院はガイドラインを踏まえて、来年度中に「改革プラン」を作成することになる。公立病院改革の効果的な推進に向け、関係分野の担当局長をメンバーとする仮称・公立病院改革連絡調整会議を設ける。