財政運営は軸足を景気刺激型に

2、道政上の諸課題について

(1)行財政改革の取り組みについて

1、今後の財政運営について
村田議員 道は財政運営の軸足を、景気刺激型に移すべきだ。

高橋知事 「新たな収支対策」を基本としながら、国の「安心実現のための緊急総合対策」に伴う追加補正の状況や、今後の政策方針などを見極め、道民生活の安定向上に向けて努力する。

2、人件費の削減について
村田議員 道は平成23年度まで給料の独自縮減措置を講じるが、技能労務職員の給与はまだ削減すべきだ。いつまでに、どのように取り組むのか。

高橋知事 民間給与の実態調査結果や国の検討内容なども踏まえ、できるだけ早期に給与水準や給料表の見直し内容を具体化していく。

3、再構築について
村田議員 平成26年度までに事務事業の30%を再構築するとしているが、見込まれる財政効果と職員数はどうなるのか。

高橋知事 約300億円の財源と、約4,000人工に相当する業務量の減少が見込まれる。職員数適正化計画の改定や組織の見直し方針は第4回定例会をめどに示したい。

核燃料税で活用協議会の設置を

(2)原子力行政について

1、プルサーマル計画について
村田道議 本年4月、北電は・地元4町村にプルサーマル計画の事前協議の申し入れをしたが、今後どのように進めるのか。

山本副知事 今月末にも有識者検討会議の中間報告がまとまる見込み。10月中旬に地元で開催される公開シンポジウムで道民意見を聞くなどして、検討会議の最終的な取りまとめに反映していきたい。

2、核燃料税について
村田道議 道の法定外普通税である核燃料税を目的税化することで、初期被ばく医療機能の充実や避難路の整備などの地元要望に迅速に応えることができる。また、地元と毎年度の財政需要額を協議するため「核燃料税活用協議会」を設置すべきだ。

山本副知事 本年9月に更新した核燃料税は、総務省の同意を得たものだ。地域振興に関する岩宇4カ町村との連絡会議」を積極的に活用するなどして、地元要望には真摯に対応する。

3、電力移出県等交付金について
村田道議 電力を他県に移出した場合に国から道に交付される電力移出県等交付金の交付対象となると考える。道はどのように認識しているのか。

嵐田副知事 これまで国に対し、交付対象地域を送電実績のある道県への拡大、他県への送電実態に応じた制度運用を要望してきた。今後とも、制度運用の拡大が図られるよう積極的に国に働きかける。

国際会議誘致にどう対応するか

(3)ポスト・サミットの取り組みについて

1、国際会議等の開催について
村田道議 政府は今後、国際会議等の北海道開催を推進する方針だ。国に依存するだけではなく、北海道としての主体的な取り組みを求められるが、どう対応するのか。

高橋知事 官民を挙げた効果的な誘致活動を展開するため、9月に「北海道国際会議等誘致推進会議」を立ち上げた。通訳ガイドの確保や育成といったホスピタリティの向上、外国語による情報案内機能の充実など、環境整備を一層進め、国際会議を官民一体で積極的に誘致する。

2、推進体制などについて
村田道議 ポスト・サミットの取り組みには、オール北海道として強力な推進体制を構築する必要がある。

高橋知事 行政や経済団体などのトップからなる「新たな道民会議」を、10月頃を目途に立ち上げたい。「国際化」、「環境」、「産業力」の三部会を設置し、年内にも活動プランを描くなど機動的な取り組むに努める。

新たなプランで策定の方向性は

(4)ロシア・サハリン州との交流について

村田道議 サハリン州知事が来道し、新たな「友好・経済交流促進プラン」の策定で合意したが、その方向性はどうか。

高橋知事 現行のプランを全面的に見直すことに合意した。新たなプランについては、友好分野なども加え、建築、環境などの分野でビジネスにつながるような、互恵的な協力の拡大を重視した実効性のあるプランとなるよう協議したい。北方四島については、ビザなし交流や専門家による防災、生態系保全、学術、医療等に関する交流の促進を図っていきたい。

「ふるさと発展基金」の創設を

(5)ふるさと納税について

村田道議 道は寄附金の受け皿として「北海道ふるさと発展基金」を設け、積極的に取り組むべきだ。個人に加えて、企業からの寄付金もこの基金に受けてはどうか。

高橋知事 ご提言の趣旨などを踏まえ、ふるさと納税制度による個人からの寄附のみならず、企業や団体からの寄附も受け入れることができるような基金を、年内に設置するよう検討を急ぎたい。

道開発局移管をどう認識するか

(6)第2次地方分権改革について

1、国の出先機関の移管について
村田道議 年末には、地方分権改革推進委員会による勧告が予定されているが、北海道開発局の移管についてどう認識しているのか。

高橋知事 国家的な課題解決に本道が果たす役割や、広域分散、積雪寒冷などの地域特性に照らし、予算の一括計上や北海道特例といった北海道開発の基本的な枠組みは、今後ともしっかりと堅持されるべきだと考えている。

2、道から市への権限移譲について
村田道議 道から市への権限移譲を円滑に進めるために、指定都市、中核市、一般市ごとに、それぞれ話し合いの場をつくるべきと考える。

佐藤副知事 今後、権限移譲をさらに進めるため、指定都市、中核市など人口規模の大きな市などとは、個別に協議したい。

協議会設置勧告はいつ行うのか

(7)基礎自治体のあり方について

1、市町村合併について
(1)合併が実現しない理由について
村田道議 合併が進まない理由について、知事はどう考えているのか。

高橋知事 未合併の市町村は、地理的条件や地域が寂れるといった不安、単独で自治体運営をしていきたいという意向など、さまざまな要因がある。

(2)勧告について
村田道議 合併新法では、知事が合併協議会設置の勧告をすることができる。意見聴取や勧告はいつ行うのか。

高橋知事 合併協議会設置の勧告については、合併協議の促進につながると考えられる場合には、地域の議論の状況や市町村の意見などを十分踏まえた上で進めたい。

過疎債はソフト分野も対象に

(8)過疎対策について

村田道議 過疎対策事業債はソフト分野も対象にするよう、国に強く働きかけるべきだ。

高橋知事 今後は人材の確保・育成や地域産業の活性化など、過疎地域の将来の発展につながるソフト対策の充実・強化を図っていくことが重要。「全国過疎地域自立促進連盟」などとも連携を図りながら検討を進め、国に対し要望を行っていく。

地域振興条例の基本的考え方は

(9)支庁制度改革について

1、施行規則の制定目について
村田道議 総合振興局設置条例の来年4月1日施行にあたり、施行規則の制定はいつか。

高橋知事 今後予定されている臨時国会で、総務省に公職選挙法の改正を要請している。そうしたことを見極めた上で、速やかに施行規則を制定したい。

2、振興局の分掌事務などについて
村田道議 振興局の分掌事務や組織体制はいつ示されるのか。

高橋知事 振興局の業務は、概ね3年程度の期間をかけて総合振興局に段階的に移行する。改革後の組織フレームや段階的な業務移行の進め方については、市町村などの意見を十分聞いて、できるだけ早期にとりまとめたい。

3、地域振興条例について
村田道議 条例の基本的な考え方についてうかがう。

高橋知事 この条例で、地域振興の基本的な理念、地域振興策の実効性を確保するための枠組みについて定めたい。「政策展開方針」を条例に基づく計画と位置付け、人口構造や産業構造などの急激な変化により、地域社会への影響が懸念される地域への支援を円滑に推進する。必要条項を盛り込むことについても検討している。

地域の温度差を解消する運動を

(10)北海道新幹線の札幌延伸について

村田道議 道内全域への開業効果が十分に説明されないこともあり、地域によって温度差がある。財政負担の状況や道内各地域への波及効果を示し、道民一丸となった取り組みを展開すべきだ。

高橋知事 今年は、政府・与党で未着工区間の検討が行われるなど、札幌延伸の実現にとって極めて重要な年。新たな取り組みとして道と包括連携協定を締結している企業と協力して、各種イベントでのPR活動などを積極的に実施した。今後とも、道民一丸となった活動を強力に展開していきたい。

排出量取引制度への取り組みは

(11)環境問題について

1、排出量取引制度について
村田道議 国は排出量取引制度を、本年10月をめどに試行するとしている。道としてどう取り組むのか。

高橋知事 国の排出量取り引きの試行的取り組みの成果などを活用しながら、本道における効果的な削減対策に取り組みたい。

2、環境モデル都市について
村田道議 国の行動計画の「環境モデル都市」に選定された帯広市と下川町を、道としても積極的に支援すべきだ。

高橋知事 庁内関係部による支援検討チームを設置した。両自治体の取り組みが全国の模範となるよう積極的に支援する。

道州制特区の知事判断の活用を

(12)医師確保対策について

1、道内の医師不足の実態について
村田道議 安心できる医療体制を構築する上で、あと何人の医師数が必要と考えているのか。

佐藤副知事 道の本年3月調査で、「緊急に確保が必要な医師」の要望数は458名。約3割の病院が医師の標準数を下回り、標準数の確保は約260名の医師が必要だ。

2、札幌医大の構想について
村田道議 道州制特区により、知事判断で札幌医大が希望する定員増を実現すべきと考える。

高橋知事 札幌医大は国の意向調査で平成21年度の入学定員を110名と回答した。入学定員数や教育環境の整備のあり方などを積極的に検討する。

障害者配慮で別枠の予算を

(13)障害者が暮らしやすい地域づくりについて

村田道議 障害者が暮らしやすい地域づくりを確実に行うために、既定の予算とは別枠を設けるなど実効性に配慮すべきだ。

高橋知事 障害者施策は、共に生活する地域住民の理解や協力による「まちづくり」の視点を含め、市町村と協働して、重点的に取り組む必要があると考えており、施策の至実に努める。

本道農業の国際競争力の強化を

(14)農業問題について

1、国際競争力強化について
村田道議 WTOドーハラウンドの交渉経緯を踏まえ、本道農業の国際競争力強化にどのように取り組もうとするのか。

高橋知事 WTO農業交渉は、本道農業にとって最悪の事態は回避された。今後、交渉の再開やEPA・FTA交渉が活発化することが想定され、適切な国境措置の確保などを国に強く求める。厳しい国際環境にも対応した、足腰の強い本道農業の確立に積極的に取り組む。

2、食料自給率の向上対策について
村田道議 国の食糧自給率50%を達成するために、第3期道農業・農村振興推進計画の平成27年度目標である242%にどう取り組むのか。

高橋知事 新たな技術の開発・普及、効率的な農地の利用、飼料自給率の向上に取り組むほか、米全体の需要の拡大や道産農畜産物の消費拡大、「愛食運動」の取り組みなどを強力に展開し、本道の食料自給率の達成に向けて全力で取り組む。

藻場保全支援をより良い制度に

(15)水産問題について

村田道議 水産庁の「環境・生態系保全活動支援制度検討会」の中間取りまとめでは、漁業者を中心とする組織が行う藻場・干潟等の保全活動を支援すべきとしている。浜の声を聞きながら、より良い制度になるよう国に働きかけるべきだ。

高橋知事 藻揚や干潟などの保全に取り組んできたが、これからも活動を安定的に継続できる仕組の整備が重要。本道漁業者が活用しやすい制度となるよう国に働きかけていく。

対象拡大をどう盛り込むのか

(16)新たな森林環境政策について

村田道議 森林環境税の導入など新たな森林環境政策について、対象森林の拡大、都市のみどり環境保全なども対象とすべきなどの意見がある。どのように政策に反映するのか。

高橋知事 新たな税負担を内容とする政策が、道民の十分なご理解を得られるよう努める。新たな森林環境政策の策定にあたっては、慎重に検討を進めながら、「素案」を取りまとめていく。

「必要な道路」を中期計画に

(17)道路特定財源について

村田道議 道路特定財源は平成21年度から一般財源化される。北海道として「必要な道路」をいち早く定め、道路整備中期計画に盛り込むよう、国に対し働きかけるべきだ。

高橋知事 北海道にとって必要な道路整備が新たな計画にしっかりと反映され、必要な財源が確保されるよう各市町村、関係機関と連携し、国へ強く働きかけていく。

(18)当別ダムの入札について

村田道議 指名停止期間中の会社の参加を認めて入札を執行した、当別ダムの入札に関する知事の判断を、疑問視する声が上がっている。指名停止事務処理要領の見直しについて、早期に対応すべきだ。

高橋知事 全国的にも初めての「台形CSGダム」であることから、できるだけ多くの技術提案を競い合わせることが必要であると判断し、指名停止事務処理要領の第5のただし書きを適用した。年度内のできる限り早い時期に、入札参加の制限や運用の明確化など要領の見直しを検討したい。