2、道政上の諸課題について


予算編成の方針と道財政の見通しは

(1)平成19年度当初予算について

1、予算編成について
工藤議員 わが会派は経済状況に配慮した予算編成の申し入れをした。今回の当初予算はどのような考え方で編成したのか。
高橋知事 骨格予算だが「経済の再建」などを特に配慮した。公共事業や雇用対策、夕張市への各種支援策、農業基盤整備の推進などについて予算措置を講じた。

2、道財政の見通しについて
工藤議員 19年度の道財政をどのように見通しているのか。
高橋知事 財政立て直しプランでは、一般財源総額を18年度に比べて230億円減少すると見込んでいたが、現時点ではそれを更に100億円程度下回る見通しだ。

市場化テストのモデル事業を実施

(2)行財政改革について

1、給与の適正化について
工藤議員 給与の適正化や技能業務の見直しにどのように取り組んでいるのか。
高橋知事 19年4月から特地部局の指定基準を見直し、技能労務業務も公用車運転や庁舎管理業務の執行体制を見直す。

2、市場化テストについて
工藤議員 市場化テストの対象になっている、車庫証明や旅券発給、公金の徴収についてどう取り組むのか。
高橋知事 新年度から北海道版市場化テストのモデル事業を実施するが、旅券発給業務などについても検討する。

特区推進条例の制定は二定で

(3)道州制特区について

1、基本方針について
工藤議員 国が閣議決定した道州制特別区域基本方針について、どう受け止めているのか。
高橋知事 これまで北海道が要望してきた内容が盛り込まれていると評価している。

2、道州制特区推進条例ついて
工藤議員 わが会派の提案を踏まえ条例制定を検討しているようだが、概要とスケジュールを伺う。
高橋知事 新たな提案についての意見を検討する有識者検討委員会やオープンな論議ができる仕組みづくりなどを内容とする条例案を、第2回定例会に提案したい。

3、第2次提案について
工藤議員 第2次提案の具体例と今後のスケジュールを伺う。
高橋知事 地域医療の確保、北海道農業の振興、循環型産業の振興、クリーンエネルギー開発、観光資源開発など道民がメリットを実感できるような提案をしたい。年内のできるだけ早い時期に提案内容をまとめ、19年度中には国へ提案したい。

夕張市民の自主的再建に支援を

(4)市町村の財政再建問題について

1、夕張市の財政再建問題について
(1)財政再建計画について
工藤議員 財政再建計画素案についてどのように受け止めているのか。
高橋知事 巨額の赤字解消に必要な事項が示されており、確実に財政再建が進められるように努力してもらいたい。道もしっかり支援していく。

(2)道の支援策について
工藤議員 他市町村と比べ、夕張市への特別扱いは均衡を欠く、自立への志を妨げるという声についての認識を伺う。
高橋知事 計画的・安定的な財政再建を進めるためには、金利負担の軽減と短期資金の確実な借り入れが不可欠であり、そのための支援策を講じた。必要性については道民にもご理解いただけると考えている。

(3)自立への取り組み支援について
工藤議員 道は市民主体の再建に向けた取り組みに対する支援に、力を入れるべきではないか。
高橋知事 NPOに対する情報提供、道内外の応援者とのネットワークづくりなど、市民の自主的な再建の取り組みに対し、さまざまな面から支援したい。

2、市町村に対する関与の在り方について
工藤議員 第2、第3の財政再建団体を出さないために、財政事情を積極的に公表して注意を喚起するなど、関与の在り方について考えるべきではないか。
太田企画振興部長 市町村の財政運営に対し適切な助言を行うとともに、自主的な財政健全化計画の策定が必要な自治体に対しては、速やかな策定を促す。

3、地域振興部の設置について
工藤議員 市町村合併や道からの権限移譲、地域マネジメント計画づくりへの支援などの、地域振興を担当する部を創設してはどうか。
高橋知事 市町村へ的確な助言・支援を行うことは極めて重要と認識している。「地域振興担当の部の創設」を含めた、本庁組織の再編などについては、道州制・支庁制度改革など地域主権をめぐる情勢変化を踏まえて、今後検討していきたい。

国へ医療制度の改善の強い働きかけを

(5)地域医療問題について

1、地域医療の認識などについて
工藤議員 医師の都市偏在、地方の小児科医・産科医不足で、地域医療の崩壊とも言われているが、こうした実態をどう認識しているのか。
高橋知事 医育大学の地域枠の設定や奨学金制度の創設、自治体病院の広域連携に向けた検討などを進め、地域医療の確保に努めたい。

2、国への要望について
工藤議員 国に対し、地域医療に関する権限の移譲や緩和など、制度改善を働きかける考えはないか。
高橋知事 本道の厳しい地域医療の具体的な状況を示しながら、今後とも国へ医療制度の改善を強く働きかけていく。

国の特別対策に対する対応は

(6)障害者の自立支援について

1、国の特別対策について
工藤議員 国の特別対策をどのように評価しているのか。
高橋知事 道が要望してきた「利用者負担の更なる軽減策」「事業者に対する激変緩和措置」「新法への移行等のための緊急的な経過措置」が示されており、障害者自立支援法の円滑な推進につながると考えている。

2、今後の対応について
工藤議員 今回の特別対策について、今後どのように対応するのか。
石川保健福祉部長 「利用者負担の軽減」は19年度当初予算で対応する。「事業者に対する激変緩和措置」「新法への移行等のための緊急的な経過措置」は18年度に小規模作業所への運営費助成事業、19年度当初予算で急激な減収に対する補てん事業に取り組む。今後も20年度までの執行計画を作成し、事業を実施する。

3、就労支援などについて
工藤議員 障害のある方が自立する上で、きめ細かな就労支援が不可欠だ。
高橋知事 本道は施設から一般就労への移行者の比率が、全国平均の約半分と低い状況にあり、きめ細かな支援策が必要。さまざまな面から積極的に支援し、地域での希望に満ちた生活の実現を図っていきたい。

AEDの普及啓発と公共施設への設置を

(7)AED(自動体外除細動器)の設置促進について

1、設置促進について
工藤議員 心臓疾患による突然死を防ぐために、AEDの普及啓発を図り、より多くの公共施設への設置を促進させるべきだ。
石川保健福祉部長 保健所が地域の実態を把握して市町村や公共施設に働きかけ、設置が促進させるように取り組んでいく。

2、学校への設置促進について
工藤議員 すべての道立学校への設置を急ぐとともに、市町村に対しても設置を働きかけるべきだ。
吉田教育長 全道立学校へのAED設置に向けた具体的な検討を進める。市町村教育委員会に対しても普及啓発に努める。

若年者の地域定着促進に対応を

(8)経済雇用対策について

1、地域の経済格差について
工藤議員 札幌や胆振以外の地域では景気回復の実感がなく、地域の経済格差が広がっていると受け止められている。この状況についてどう認識しているのか。
高橋知事 地域によっては産業構造などを背景に、厳しい状況もあると認識している。農林水産業と食や観光産業との連携の促進、道内六圏域で「リサーチ&ビジネスパーク構想」の展開などで、地域経済の活性化に積極的に取り組んでいく。

2、有効求人倍率について
工藤議員 なぜ北海道の有効求人倍率が、「0.7倍」の壁を超えることができないのか認識を伺う。
高橋知事 公的需要への依存度が高いなどの産業構造上の問題があり、本道が将来にわたり活力ある地域として発展していくために、民間需要に支えられた自立型経済構造への転換を図っていきたい。

3、若年者の流出について
工藤議員 若者の道外流出が憂慮されており、地域への定着を促進することが重要だが、どう対応するのか。
高橋経済部長 19年度以降も「ジョブカフェ事業」を実施するほか、道内企業への早期採用決定への働きかけ、学生の道内就職の促進などに取り組んでいく。

知事は日豪EPAで不退転の決意を

(9)農業問題について

1、日豪EPA問題について
工藤議員 EPA問題は北海道全体の大きな課題であると同時に、日本の食料需給にかかわる大きな問題。重要品目を守り関税を撤廃させないよう政府に働きかける、知事の決意を伺う。
高橋知事 今後、本格的な交渉がスタートするが、本道農業と地域の経済・雇用を守るため、道民の先頭に立って、不退転の決意で取り組んでいく。

2、農地・水・環境保全向上対策について
工藤議員 国は19年度以降、本格的に事業を実施するが、積極的にこの事業を活用して農業環境の整備を進めるべきだ。
高橋知事 国は19年度に地方財政措置を講じるが、魅力ある本道農業・農村の振興に向けて全力を傾ける。

日本海の漁業生産格差の是正対策を

(10)水産業問題について

1、漁業経営安定対策について
工藤議員 国が導入を検討している新たな漁業経営安定対策の実現に向け、道も国へ強く働きかけるべきだ。
高橋知事 国の水産基本計画の策定にあたり新たな制度創設を提案してきた。国は20年度の導入に向けて検討しているが、本道漁業の実情に即したものになるように国に働き掛けていく。

2、日本海の漁業振興対策について
工藤議員 オホーツク海、太平洋、日本海では海域間で漁業生産に格差があり、日本海の漁業振興対策を推進する必要がある。
高橋知事 ナマコの種苗生産技術の開発を加速させ、早期事業化を目指すほか、トド被害の防止対策、水産物の付加価値向上や販路拡大などの取り組みで漁業振興に努める。