国の追加経済対策の活用を

1、道政上の諸課題について

(1)経済雇用対策について

石塚議員  国の20年度第一次、第二次補正予算、21年度予算に呼応して講じた道の対策は、どのような効果を上げているのか。早急に国の追加経済対策を活用した対策に取り組むべきだ。

高橋知事 経済雇用情勢の改善は最重点課題。約3,500人の雇用創出につながる雇用対策の取り組みを進めている。今回提案した補正予算には、現時点で内容が明らかになったものや速やかに措置可能な取り組みをまとめている。

厳しい資金繰りにどう対応するのか

(2)企業の資金調達などについて

石塚議員 景気の低迷で企業の資金繰りは厳しい状況におかれている。資金需要にどのように対応していくのか。

高橋知事 信用保証協会の代位弁済額が著しく増加するなど、企業経営は引き続き厳しい状況にある。中小企業者からの相談対応や実態把握に努め、緊急保証制度や制度融資の一層の活用促進に取り組むとともに、円滑な資金調達に必要な対策を検討する。

直轄事業負担金の内容をどう考える

(3)直轄事業負担金ついて

1、直轄事業負担金の見直しについて
石塚議員 国から平成20年度直轄事業負担金の内訳明細が示されたが、この内容についてどう対応する考えなのか。

高橋知事 事務費は国庫補助事業に比べて比率が高く、内訳明細が不十分。さらなる情報開示や対象経費の見直しなどの意見を全国知事会に提出した。
2、社会資本整備への影響について

石塚議員 直轄事業負担金制度の見直しで、社会資本整備の遅れなど本道の開発行政に影響があってはならない。

高橋知事 本道の発展に必要な社会資本整備が、今後とも国と地方の役割分担のもと、一体となって着実に進められるように努める。

北朝鮮の人権侵害で世論啓発を

(4)北朝鮮による人権侵害問題などについて

石塚議員 道は、拉致問題などの啓発を通じて、北朝鮮が幾多の人権侵害を省みることなく核武装に突き進んでいる姿を明らかにするべきだ。

高橋知事 「拉致問題を考える道民集会」を開催するなど、拉致問題をはじめとする北朝鮮当局による人権侵害問題に関して、道民世論の一層の啓発に取り組む。

自衛隊の現行維持を国へ働きかけよ

(5)自衛隊の体制維持について

石塚議員 現防衛計画大綱の計画の見直しや策定によって、本道の自衛隊の更なる削減が懸念されている。本道の自衛隊の現行体制が維持されるように、国へ強力に働きかけるべきだ。

高橋知事 大幅な削減が行われた場合、国防上の問題はもとより、災害発生時の派遣・支援やまちづくり、地位経済への影響などは計り知れない。市町村や関係団体とともに、私自身が先頭に立ち強く働き掛けていく。

道観光振興特別措置法の制定を

(6)北海道観光振興特別措置法の制定について

石塚議員 自民党北海道代議士会は「北海道観光振興特別措置法」を制定に取り組んでいるが、道も国へ働きかけるべきだ。

高橋知事 法律の制定は、本道の基幹産業である観光産業の活性化に大きな効果をもたらす。道州制特区推進法プロジェクトチームや関係国会議員に必要な要請を行ったが、働き掛けを強めたい。

広域事務の基本的枠組みはどうなる

(7)支庁制度改革について

石塚議員 総合振興局等設置条例に関し、広域事務など基本的な枠組みをどう考えているか。

高橋知事 「基本フレーム」の素案は、広域事務として、広域的な地域重点プロジェクトなどの施策の総合調整に関する事務や啓発、調査・統計に関する事務を想定。内部管理部門からおおむね3年程度で順次、移行していく。

早期に内部管理業務の見直しを

(8)行財政改革への取り組みについて

1、道有財産の有効活用について
(1)有効活用の方向性について
石塚議員 道有財産有効活用懇談会の報告書で述べられている職員住宅の縮減、遊休資産の売却促進などについて、年内にも取り組むべきだ。

高橋知事 今年度から懇談会の意見を参考にした取り組みを積極的に行う。土地の文筆売却や民間委託も含めた売却事務の効率化の検討を進めるなど、民間ノウハウを一層活用して歳入の確保を図る。

(2)道有財産の有効活用について
石塚議員 職員住宅は必要とする数が減少する。今後の検討の視点や方向性をどのように考えているのか。

高橋知事 公宅の集約化を進め、財産価値の高い都市部の公宅は今年度中に売却計画を策定する。公宅建設のための共済組合からの借入金は、繰り上げ償還し、債務の圧縮を図った。

3、新たな関与団体見直し計画について
石塚議員 公益法人制度改革を踏まえ、関与団体見直し方針を早急に固める必要がある。その際、出資、補助事業、職員派遣などの支援のあり方は、公益法人に限定すべきだ。

高橋知事 道の関与団体で、一般法人に移行する団体については、原則として道との関与を根本的に見直す。関与のあり方について抜本的な見直しを行い、見直し計画の策定を進める。

4、総務業務の一元化について
石塚議員 職員数適正化計画で、職員事務や会計事務など道民サービスに直接かかわらない内部管理業務の見直しは、早期に取り組むべきだ。

高橋知事 基準や規則、業務プロセスの見直しなどを進めたうえで、平成23年4月を目途に、全道一元的に処理する「業務効率化センター」(仮称)を新たに設置する。昨年の政策評価で同センターの設置で約150人に相当する事業量の減少を見込んだ。

日露首脳会談で領土進展を期待

(8―2)北方領土について

石塚議員 7月に開催されるイタリアのサミットでの日露首脳会談に期待する道民の思いを国へ伝える必要がある。

高橋知事 今年5月の「日露知事意見交換会」でプーチン首相に、一日も早い領土問題の解決が必要と申し上げた。サミットの際の首脳会談で領土問題を協議することが確認されており、国は強力な外交交渉を行うように働きかける。

丘珠空港撤退にどう対応するか

(9)交通行政について

1、A‐netの丘珠空港撤退について
石塚議員 丘珠空港発着の道内空路は道民生活や経済活動、観光振興に欠かせない。A‐netの丘珠空港撤退の方針にどのように対応するのか。

高橋知事 全日空に対し、新千歳空港への集約について再考するよう、札幌市や経済団体とともに要請した。6月には全日空も参加して関係者による協議会を開催し、協議を開始した。

2、新千歳空港の24時間運用について
石塚議員 道政上の最優先課題である、新千歳空港の24時間運用にどう取り組むのか。

高橋知事 来年10月に羽田空港の再拡張が予定されており、深夜・早朝時間帯の発着枠の拡大に最優先で取り組む。今後の地域協議会で地域の意見・要望に対し道の考え方を示すなど、具体的な協議をしっかり進める。

消費者関係事務の一元化・整備を

(10)消費者行政について

1、道の対応について
石塚議員 消費者庁関連三法が成立し、国の消費者行政が一元化される。道もこれに合わせて複数部が所管する関係事務の一元化、支庁の指導体制の整備、市町村との連携強化を図るべきだ。

高橋知事 機動的、効率的な組織体制の整備について今年度中に検討し、来年度に反映する。地域の実情に応じた効果的な「消費者行政活性化基金」の活用を働き掛けるなど、市町村と連携し、今後3年間で集中的に地域の相談体制を強化する。

2、広域的な行政について
石塚議員 近隣市町村が共同で、広域的に苦情相談に応じる専任職員を置いているのは3地区15市町村に過ぎない。実効性のある相談体制の整備が必要だ。

高橋知事 地域の実情に応じた連携モデルなども提案しながら、広域的体制の整備に向けた検討の働きかけ、市町村間の調整を図るほか、「消費者行政活性化基金」の活用を助言する。

アイヌ民族の日を率先制定せよ

(11)アイヌ民族政策について

石塚議員 知事の提言の中に例示されている「アイヌ民族の日」を、北海道が率先して制定し、全国に普及させるように取り組んではどうか。

高橋知事 国民の理解を深めるためには、北海道が国に先駆けて「アイヌ民族の日」を制定することも効果的と考えている。今後、国と相談しながら、制定を検討したい。

基金で効果的な漂着ゴミ対策を

(12)漂着ゴミ等対策について

石塚議員 環境省は補正予算で漂着ゴミ対策事業などを対象にした「基金」の創設に必要な経費を計上した。道はこの基金で効果的な事業を実施すべきだ。

高橋知事 地域グリーンニューディール基金を活用し、海岸管理者や市町村などによる協議会を設置するほか、漂着ゴミの回収や処理、発生源対策などの事業の実施を積極的に検討する。

医療再生のために交付金を活用せよ

(13)地域医療再生計画について

石塚議員 国の補正で二次医療圏単位での医療機能の強化、医師の確保などへの取り組みを支援する交付金が措置されている。積極的に活用し、圏域ごとの課題に適切に取り組むべきだ。

高橋知事 地域医療再生計画の策定に当たり、本道の実情を踏まえた交付金の重点的な配分で、幅広い事業実施が可能になるように要望した。医療再生のための具体的方策について検討を進め、計画を策定していく。

ドクターヘリの運航開始時期は

(14)ドクターヘリについて

石塚議員 今年度新たに道北、釧路・根室地域にドクターヘリが導入される。現在、準備作業はどの程度進んでいるのか。運航開始はいつごろになるのか。

高橋知事 基地病院になる救命救急センターが中心になって、フライトドクターなど必要な人員の確保や運航調整委員会の設置など、運航体制の確保に向けて準備を進めている。運航開始については両地域とも10月を予定していると承知している。

児童相談所の体制整備を急げ

(15)子どもを守る取り組みについて

1、児童相談所の体制整備について
石塚議員 児童虐待の通告があった場合、職員が必ず家庭に出向くために、児童相談所の体制整備を急ぐべきだ。

高橋知事 今年3月に稚内市で発生した事件を重く受け止め、児童福祉司などの専門員の増員を図るとともに、虐待に対応する人材の育成、現場確認など初期対応の徹底など、体制の一層の充実強化に努める。

2、育児相談について
石塚議員 幅広い育児相談のため、「つどいの広場」事業の助成策の拡充、「すきやき隊」の協力を得るなどに取り組むべきだ。

高橋知事 「地域子育て支援事業」の未実施市町村の解消に積極的に取り組む。今年度は美唄市と七飯町をモデル地域にして「せわずき・すきやき隊」と有機的に結びつける仕組み作りに取り組んでいる。国の支援策の活用を図るなどで、体制整備が着実に進むように努める。

障がい者条例の施策の進め方は

(16)障害者福祉問題について

石塚議員 先の一定でわが会派が提案した「北海道障がい者条例」が可決・成立したが、施策をどのように進めるのか。

高橋知事 平成22年4月の本格施行を目指す。7月上旬にも施行準備のための推進本部を開催するとともに、有識者会議による検討、タウンミーティングなどの機会を設け、施行に向けた取り組みに万全を期す。

老老介護対策で実態を把握せよ

(17)介護保険制度について

1、いわゆる「老老介護」について
石塚議員 本道は「世帯主が65歳以上で夫婦二人暮らし」の世帯が全国より多い。「老老介護」対策を検討するためには実態把握が必要だ。

高橋知事 今年度中に高齢者やその家族の実態調査を行い、市町村の地域包括支援センターと連携して在宅で介護する人の支援を積極的に行う。

2、介護職員の待遇改善などについて
石塚議員 お年寄りが安心して介護サービスを受けられるように必要な対策を講じることを、国へ強く働きかけるべきだ。

高橋知事 介護の仕事に誇りとやりがいを持って、従事することができるような処遇の改善や、高齢者が安心して介護サービスを利用できることが大切。事業者や関係団体などから意見を聞き、国に要望する。

東アジア向けの輸出戦略を示せ

(18)東アジアとの交易について

石塚議員 東アジアへの道産品の輸出戦略と、輸出額の年次計画をどう設定しているのか。

高橋知事 「北海道国際ビジネスセンター」のビジネスマッチング機能の活用や、新たな流通ルートの開拓などによる販路拡大を図るほか、情報拠点の整備などにより道産品の輸出拡大を戦略的に推進する。平成20年ですでに目標数値を上回っており、年次計画を含め検討する。

新エネの導入にどう対応するか

(18―2)新エネルギー導入に向けた取り組みについて

石塚議員 道が平成14年に策定した「省エネルギー・新エネルギー促進行動計画」では、本道全体の新エネルギー導入をどう推進するのか明らかでない。

高橋知事 今夏にもエネルギー問題を考える懇談会を開催したい。低炭素社会の実現や道内のエネルギー資源などについて理解を深め、新エネルギーの導入促進にもつなげたい。

基本計画の見直しをどう認識するか

(19)農業問題について

石塚議員 国は新たな「食料・農業・農村基本計画」の見直しを検討しているが、この動きをどう認識しているのか。

高橋知事 国は8月中に中間取りまとめを行うが、本道の実態に即した実効のある政策の展開が必要。小麦の単収水準を適切に反映した面積単価の見直し、需要に応じた米の計画的生産と生産調整参加農家の所得確保などを、国へ求めていく。

担い手育成策の取り組み強化を

(20)水産問題について

石塚議員 国の補正予算で「漁業担い手確保・育成緊急対策事業」が組まれた。道も国の予算を有効活用するなどして、これまでの取り組みを一層強化する必要がある。

高橋知事 道漁業就業支援センターや市町村などとの連携を一層強化し、新規就業者の育成確保にしっかり取り組む。栽培漁業の推進や地域水産物のブランド化など各種施策を総合的に進め、本道漁業の振興と地域の活性化を図る。

新税導入の際は道民負担軽減を

(21)林業問題について

石塚議員 「新たな森林環境政策」では、新たに造成される120億円の「緑の産業再生プロジェクト」の基金を最大限に活用し、新税の導入に当たっては道民の負担を軽減すべきだ。

高橋知事 一人30本植樹運動や植林など基金の対象にならない事業は、道民の理解と協力を得て進めていくことが重要。「森林環境税」については財政需要額を改めて算定し、税率や課税期間などについて検討する必要があると考える。