●平成28年第2回定例道議会 自民党・道民会議 代表格質問答弁要旨

村木 中 議員 (岩見沢市選出)

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知事が「飲酒運転根絶の日」に向けプラン策定を明言

飲酒運転事故の再発防止を強く要求

昭和42年6月4日、札幌市生まれ。北海高校卒業。岩見沢市議会議員(3期)を経て、平成23年北海道議会議員に初当選。2期目。現在、道議会経済常任副委員長、同少子・高齢社会対策特別委員会理事、同議会運営委員会理事、自民党岩見沢支部長など。

第2回定例道議会は6月21月に開会し、24日に行われた一般質問(代表格)では、自民党・道民会議の村木中議員が、経済対策、観光振興、エネルギー政策など、道政上の重要課題について高橋はるみ知事らの見解をただしました。道職員や警察官による酒気帯び運転が相次いでいることを厳しく追及し、高橋はるみ知事は、飲酒運転根絶条例で定められた7月13日の「飲酒運転根絶の日」までに、再発防止策を策定する考えを明らかにしました。

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アベノミクスをどう加速するのか

1、知事の政治姿勢について

(1)経済対策について

村木議員 アベノミクスにより経済活動が改善し、新規学卒者の就職率の上昇、完全失業率の低下、時間給の上昇などがみられるが、本道においては全国の経済動向を追いかける傾向がある。実情を踏まえた対策を講じる必要があるが、現状をどう認識し、検討をどう進めていく考えなのか。

高橋知事 本道経済は緩やかな回復基調にあると認識しているが、地域の中小企業からは実感がないという声もある。地域資源を活用した商品開発、道産食品の輸出拡大など、地域産業力の底上げを図り、力強い経済の実現に向けた取り組みを加速していく。

(2)電力の安定供給について

村木議員 泊原子力発電所が稼働停止後、本道の電力供給のほとんどを火力発電が担っている。点検時期の繰り延べとフル運転による、予期しない運転停止や出力抑制の件数は、平成23年の68件から昨年度109件に増加し、電力供給がストップする恐れがないとは言えない。電気料金は全国で最も高い水準であり、家庭や経済活動への影響が懸念されており、安定供給にどう取り組んでいくのか。

高橋知事 エネルギー政策に責任を持つ国に対し、丁寧な説明を行うよう働きかけるほか、省エネルギー、エネルギーの地産地消にも取り組んでいく。

(3)ロシア極東地域との経済交流について

村木議員 安倍総理はプーチン大統領と会談し、日ロ経済交流の促進に向けた8つの協力プランを提案した。この中には、本道が取り組んできた極東の産業振興・輸出基地化が含まれている。プーチン大統領の訪日に向けて、交流実績を踏まえた国への積極的な働きかけを行う必要があるではないか。

高橋知事 食、農業、健康、寒冷地技術などの分野で、道内企業の参入を支援している。国に対し、ビザ要件緩和や企業支援拡大などの提案を行い、一層の交流拡大に努めていく。

 

2、道政上の諸課題について

(1)フード特区について

村木議員 食産業の競争力を強化し、国内外の需要を獲得していくことは本道の発展にとって重要である。フード特区について、現計画が終了する来年度以降、どう展開していくのか。

高橋知事 ヘルシーDoの創設による道産食品の高付加価値化などに取り組んできたが、一次産業と企業の連携促進、研究シーズを活用した商品化に取り組むなど、具体的な検討を進めていく。

(2)エネルギーの地産地消について

村木議員 下川町や鹿追町はバイオマスを活用して地域に電力を供給する構想を進めているが、資金や人材の確保などの点で支援が求められている。道営電気事業を担う企業局と連携し、シューパロ発電所の収益金を活用するなどして、エネルギーの地産地消を促進すべきではないか。

高橋知事 企業局の持つノウハウや収益金の活用、技術面や人材育成など、地域のニーズに対応できる総合的な支援の枠組みについての検討を進めていく。

(3)観光振興について

村木議員 外国人観光入込客数は平成37年度までに400万人以上を目指すとしているが、幅のある目標では宿泊施設や輸送能力の整備などへの対応は難しい。目標数値を明確にし、達成に向けた対応や取り組みを示していく必要あると考えるが、見解を伺う。

高橋知事 3月に従来の目標値を大幅に引き上げた。季節や地域の偏在解消、受け入れ体制の充実、道東や道北の周遊ルートの形成など、満足度の高い観光地づくりに取り組む。

(4)JR北海道の経営再建について

村木議員 JR北海道は厳しい経営状況を背景に、留萌線など、利用が少ない路線の見直しを次々に打ち出している。国鉄分割民営化後の経緯を踏まえると国の果たすべき役割は大きく、経営立て直しに向けて国の支援を求めるべきではないか。

高橋知事 鉄道施設の老朽更新に多額の資金を要するため、JRの自助努力を前提に国に支援を求めていく必要があると考えており、公共交通機関としての役割を果たすことができるよう取り組んでいく。

(5)道内空港の民営化について

村木議員 空港経営改革に関する協議会において、国と道が管理する道内7空港の民営化について検討することになった。空港をネットワーク化し、一体的に運営することで利便性が高まると考えるが、どのような方針を持って臨むのか。

高橋知事 国は、国管理4空港の民間委託を目指し、資産査定などを急いでいる。道としては、その他の空港との同時移行についての検討を進め、年内をめどに国に提案できるよう努める。

(6)振興局機能の強化について

村木議員 振興局が市町村と連携し、地方創生の取り組みを効果的に進めるためには、道職員派遣先市町村の決定権限を本庁から振興局に移すなど、一層の機能強化が必要ではないか。

高橋知事 来年度から振興局長が一定の枠内で、職員を派遣する市町村の選定や、局内の人員配置を弾力的に行うことができる制度を導入する。

(7)夕張市の再生について

村木議員 夕張市は平成19年に財政再建団体に移行した。有識者検討委員会の報告書では、住民の失望感が人口流出を加速させ、地域社会の崩壊につながる懸念が指摘されているが、財政再建と地域再生の両立をどう支援していくのか伺う。

高橋知事 人口減少などの課題に危機感を持って対応するとともに、夕張市へのきめ細かなサポートに努め、今後、開催される三者協議を通じてしっかり支援していく。

(8)飲酒運転などについて

村木議員 6月に警察官、振興局職員、小学校教員による飲酒運転が相次ぎ発生し、道職員全体に対する信用を損ないかねない事態となっている。知事、教育長、警察本部長が連携して飲酒運転撲滅に取り組む必要があるのではないか。また、覚せい剤捜査を巡って警察官が証拠偽造で逮捕される事案が発生した。道民の信頼回復、再発防止にどう取り組むのか、警察本部長の見解を伺う。

高橋知事 副知事から各部長、振興局長に交通法規の順守を徹底するよう指示したほか、飲酒運転根絶の日である7月13日までに交通安全運転の実践などのプランを策定する。

北村道警本部長 道民の信頼を著しく損ねたことは痛恨の極みである。飲酒運転については、直ちに全ての所属長に規律保持の徹底を通達するとともに、緊急の警察署長会議で再発防止に向けた取り組みの徹底を指示した。逮捕事案については、部門横断的なプロジェクトチームを設置し、業務管理の見直しを進めていく。

 

安全確保のため早急に学校耐震化を

 

(9)災害対策について
①応急対策について

村木議員 熊本地震の避難者は屋外を含めて最大20万人にのぼり、避難所のさまざまな課題が浮き彫りになった。避難所や物資輸送などの応急対策にどう取り組んでいくのか。

高橋知事 振興局単位で実施する防災訓練に応援・受援の視点を取り入れるなどして、応急対応の充実に早急に取り組んでいく。

②市町村における 行政機能の確保について

村木議員 熊本地震では5市町村で庁舎が使用不能となった。災害時の行政機能の確保を進める必要があるのではないか。

高橋知事 市町村庁舎の耐震化を進めるとともに、被災した場合、優先的に実施すべき業務の継続性を確保する計画の改定を市町村に働きかける。

③病院の耐震化について

村木議員 道内566病院の耐震化率は70%にとどまり、耐震診断が未実施のため不明という病院も23%に上っている。このような状況にどう対応するのか。

村木保健福祉部長 災害拠点病院や救命救急センターを中心に、補助制度の活用による耐震化を図ってきたが、引き続き医療機関への働きかけを強め、耐震化の促進に努める。

④社会福祉施設の耐震化について

村木議員 道内には、児童や障がい者、高齢者を対象とする5500を超える社会福祉施設があり、耐震化率は8割にとどまっている。災害弱者の福祉避難所に指定されているケースも多いことから耐震化を急ぐ必要があるが、どう進めるのか。

村木保健福祉部長 市町村や施設管理者に整備を強く働きかけるとともに、国に対し補助制度の充実を要望する。

⑤小中学校の耐震化について

村木議員 道内小中学校の耐震化は全国最下位の水準にとどまっている。児童生徒の安全確保のため、早急に対応すべきではないか。

柴田教育長 今年度予定していた小中学校の耐震化工事事業の半数近くが、いまだ未採択となっている。国に対し、速やかな採択を求めるとともに、次年度の財源確保を働きかけていく。

(10)子育て環境の整備について

村木議員 親が育児休業中などの理由で保育所待機児童に含まれない、隠れ待機児童数が、昨年4月時点で全国約6万人にのぼり、道内でも待機児童182人のほかに1115人いることが明らかになった。この問題に対応するには保育人材の確保が必要だが、どう取り組んでいくのか。

高橋知事 賃金水準の改善を国に要望するほか、保育所と事業所のマッチング、潜伏保育士の再就労支援を検討する。

(11)アイヌ政策における新法の検討について

村木議員 5月のアイヌ政策推進会議で、アイヌ政策に関する法的措置の必要性を総合的に検討する必要が確認された。新法成立に向けてどう取り組んでいくのか、見解を伺う。

高橋知事 国に対し、アイヌの人たちの意向を反映したものとなるよう働きかけるとともに、民族としての誇りが尊重される社会の実現に取り組む。

(12)指定生乳生産者団体制度について

村木議員 政府の規制改革会議は、指定生乳生産者団体制度の抜本的な改革について秋までに結論を出すと答申した。生産者からは集荷コスト低減や需給状況に合わせた調整などに有効な仕組みであることが強調されたが、酪農王国北海道としてどう対応するのか。

高橋知事 関係機関と連携し、牛乳乳製品の安定供給に重要な役割を果たしている本制度の機能確保を国に求めていく。

(13)北海道森林づくり基本計画について

村木議員 道は森林資源の循環利用の促進、地域材の利用促進などを柱として北海道森林づくり条例を改正したが、今年度中に行う北海道森林づくり基本計画の見直しにどう臨むのか。

高橋知事 伐採後の着実な植林、需要拡大の推進、木育を通じた道民理解の促進などの施策を強化し、豊かな森林を次世代に引き継ぐことができるよう見直しを進める。

(14)漁業の体質強化について

村木議員 本道の漁業は厳しい経営環境にあり、TPP合意を受け、国際情勢の変化への対応も求められている。安定経営のため、漁業の体質強化に取り組む必要があるのではないか。

高橋知事 海洋環境の変化に対応した増養殖技術の開発、災害に強いホタテガイ漁場づくり、漁船リース事業の継続と拡充を国へ要請するなど、持続可能な収益性の高い漁業の実現に向け全力で取り組む。

3、教育問題について

(1)特別支援教育について

村木議員 わが会派は、昭和54年以前に就学義務の猶予・免除の対象となった障がい者に義務教育を受ける機会を提供すべきだと申し上げた。教育長は希望者に対し、計画的に訪問教育を実施する考えを示したが、どのように進められているのか。

柴田教育長 昨年度の実態調査で240人が訪問教育を希望し、本年度は福祉施設5カ所7人を対象に実施した。来年以降は毎年30人程度を対象に実施していく。

 

指摘

 

村木議員 昨年12月に施行された北海道飲酒運転根絶条例は、小樽市や砂川市で発生した死亡事故をきっかけに、わが会派が中心となって呼びかけ、各会派の賛同を得て、全会一致で制定された。「飲酒運転をしない、させない、許さない」を基本理念として定めているが、このたびの事案は、組織としての取り組みが十分ではなかったと言わざるを得ない。職員が二度と繰り返さないよう具体的な対策を示し、答弁内容が確実に進められるよう強く求める。

自民党・道民会議 一般質問項目

○塚本敏一 議員(北見市)
  1. 新たなキャッチフレーズについて
  2. 北海道地域防災マスターについて
  3. 小規模企業の振興について
  4. 雇用対策について
  5. 観光ホスピタリティについて
  6. ジャガイモシロシストセンチュウについて
  7. 林業・木材産業の振興について
○大越農子 議員(札幌市豊平区)
  1. 人事行政について
  2. サハリンとの経済交流について
  3. 性感染症と人工中絶の防止対策について
  4. 虐待防止と児童相談所の体制強化について
  5. 子どもの貧困対策について
  6. 食品ロス問題と食育について
○内田尊之 議員(檜山地域)
  1. 行政改革について
  2. 有人国境離島法について
  3. 住宅の耐震診断について
  4. 地域医療問題について
  5. 選挙制度について
○加藤貴弘 議員(札幌市西区)
  1. スポーツ振興について
  2. 障がい者スポーツについて
  3. 道政の情報発信について
  4. グローバル人材の育成について
  5. 災害時の避難対策について
  6. 教職員の時間外勤務について
○太田憲之 議員(千歳市)
  1. 農業振興について
  2. 航空行政について
  3. 建設業における担い手対策について
  4. 防災対策について
○道見泰憲 議員(札幌市北区)
  1. 観光振興について
  2. 札幌丘珠空港の利活用について
  3. 道職員の企業等派遣研修について
  4. 道のアスベスト問題の対応について
○千葉英也 議員(室蘭市)
  1. 「生涯活躍のまち」構想について
  2. ものづくり人材の育成と地域での雇用創出について
  3. 北海道働き方改革包括支援センター(仮称)について
  4. 介護サービス情報公表システムについて
  5. 訪問型家庭教育支援について
  6. 公立高等学校配置計画案について
  7. 北海道迷惑行為防止条例について
○中野秀敏 議員(名寄市)
  1. 地域交通について
  2. 薬用作物の振興について
  3. 家畜伝染病の防疫対策について
  4. 木育の推進について
  5. 北海道史の編さんについて
  6. 知事と道教委との施策連携について
○花崎勝 議員(札幌市厚別区)
  1. 新たな連携地域別政策展開方針について
  2. 交通安全対策について
  3. 犯罪被害者対策について
  4. 新しい国民健康保険制度について
  5. 学校施設の木造化について