●平成25年第2回定例道議会自民党・道民会議一般質問(代表格)・答弁要旨
自民党・道民会議 北原 秀一郎 議員
メディカルウイングは7〜9月研究運航
昭和26年紋別市生まれ。専修大学商学部卒業。紋別市議会議員を経て、平成19年道議会議員当選。2期目。道議会少子・高齢社会対策特別副委員長、党道連選挙対策副委員長などを務める。現在、道議会水産林務副委員長、党道連選挙対策副委員長、同組織委副委員長など。
平成25年第2回定例道議会は6月18日招集され、7月5日までの18日間の日程で、総額93億1700万円の一般会計補正予算案などを審議した。自民党・道民会議は北原秀一郎議員が一般質問(代表格)に立ち、国の成長戦略、TPP、矢臼別演習場の実弾射撃訓練、原発の安全性、JR北海道の安全運行、教育問題などについて、知事、教育長の見解を求めた。
北原議員 国の成長戦略をどのように受け止めているのか。国の成長戦略に呼応して機動的、果断に取り組んでいく必要がある。
高橋知事 成長戦略に基づく日本産業再興プランや戦略市場創造プランなどの力強い推進により、一刻も早く日本経済が成長軌道に乗ることを期待している。施策が地域で活用しやすいものとなるよう、引き続き要請する。国の施策の効果を活用しながら、食や健康、環境、エネルギーなど成長が期待される産業の育成や、アジア・ロシア極東との交流拡大など北海道ならではの取り組みを積極的に進めたい。
北原議員 クールジャパンの関連施策を活かした取り組みをみると、多くが首都圏の大手企業の提案であり、道内企業が十分に活用されていない状況にある。国のクールジャパンの視点を活かして、本道経済の活性化に向かう、クール北海道を推進すべきと考える。
高橋知事 海外の成長力を取り込むためには、輸出拡大はもとより、人々の往来や投資の呼び込みに結びつけていくことが大切。道内企業が国のクールジャパン施策を活用し、海外メディアとの共同番組制作や情報発信店舗の設置などの取り組みを積極的に展開できるよう、ビジネスモデルの創出を促進するなど、「世界の中の北海道」を力強く発信する戦略として、「クール・HOKKAIDO」を推進していく。
北原議員 国は「国際科学イノベーション拠点」を整備して、研究開発を支援する「センターオブイノベーションプログラム」を打ち出し、本道の「フード&メディカルイノベーション国際拠点」事業が採択された。国のプログラム事業採択に向けて積極的に取り組み、成果が地域の活性化につながるようにする必要がある。
高橋知事 今後とも、産学官の連携を一層強化するとともに、本道の拠点構想を具体化するための国の新たな事業への提案などを通じて、地域の活性化による本道の持続的発展と世界をリードする研究開発拠点の実現に向け、積極的な取り組みを展開する。
北原議員 本道のものづくり産業の振興について、これまで以上に幅広い視点の方向性をしっかり打ち出していくべき時期と考える。
高橋知事 道としては、技術力や経営力など多角的な企業競争の強化を基本に、新たな展開方向を定め、農林水産業など地域産業との連携や国内外での市場開拓などの取り組みをこれまで以上に加速し、地域経済を底上げする力強いものづくり産業の振興に努める。
北原議員 わが国は1カ月後にTPP交渉に参加するという状況になっているが、今後、道としてどのように対応していくのか。
高橋知事 国民合意・道民合意がないままでのTPPへの参加にはあくまでも反対であるという考えに変わりはない。今後も道議会や関係団体とともに農林水産業など本道経済や道民生活を守るため、北海道の考え方をしっかりと国に訴えていく。
北原議員 矢臼別演習場での実弾射撃訓練の事故について、知事は自ら防衛省に要請を行った。事故及び対応についてどのように受け止め、今後の訓練のあり方についてどのように考えているのか。
高橋知事 6月11日に発生した演習場外への着弾事故は、極めて重大な事故で、あってはならないものと受け止めている。地元の理解を得ないまま訓練が再開されたことは、極めて遺憾だ。6月19日午後から始まった訓練には、事故のあった中隊が訓練に復帰したとの連絡があり、事前に連絡がなかったことは遺憾だ。これまでの訓練が地域の理解と信頼のもとに実施されてきたものであることを踏まえ、今後、要請内容を真摯に対応してほしい。
北原議員 知事はこれまで、原発は何よりも安全性の確保が最優先である、今週には規制委員会の審査後、地元プロセスが始まると述べている。規制委の審査を控えた今、再稼働についてどのように考えているのか。
高橋知事 道は、原子力発電関係団体協議会を通じ、国に対し、原子力規制委で科学的・技術的根拠に基づいた厳格な規制基準を策定するとともに、厳正かつ効率的な審査が行われるよう、体制の充実・強化を図ることについて要請した。泊原発についても専門的な知見を有し中立的な立場の原子力規制委で新規制基準に基づく厳正な審査が行われるべきものと考えている。その後のプロセスについては、国の責任で明らかにすべきだ。
北原議員 サハリン州との交流にあたっては、極東地域とのプログラムとともに、本道との関係も踏まえた対応が必要。今後どのように交流を進めていく考えなのか。
高橋知事 提携15周年となる本年、サハリン州を訪問し、記念事業を展開することにしている。その訪問に合わせ、環境・エネルギーや健康分野など、サハリン州から示された社会的な課題に対応して道内企業の参入を図るという視点を盛り込んだ新たな「友好・経済交流促進プラン」を締結し、両地域の経済交流の一層の発展に努める。
北原議員 HACの本年事業計画の見直しでは、JALのコードシェアとともに、三沢線の就航が経営立て直しの柱になっている。HACの経営安定、大震災の復興支援の意味合いからも、どのような取り組みを進めていくのか。
石橋総合政策部交通企画監 三沢市や八戸市などから道内への重要喚起に加え、道内からの利用を促進し、双方向で需要促進に取り組んでいくことが必要。東日本大震災からの復興を応援するため、観光モデルプランの作成やキャンペーンを実施するほか、ビジネス需要を確保するため、三沢市や函館市などとも連携し、三沢線の需要掘り起こしに積極的に努める。
北原議員 24時間運用に関する地域協議会に対して提案する枠数については、現状のエアライン・ニーズや今後の誘致活動などによる新たな旅客便や貨物便の枠数を含めて検討する必要がある。枠拡大や地域の課題にどのように対応していくのか。
高橋知事 拡大に向けた必要枠数については、今年度の調査結果で示された24便の就航ニーズに加え、LCCの動向など中長期的な航空需要見通しのほか、国際旅客便や貨物便の誘致活動の取り組みなどによる需要増も考慮していく。航空機騒音予測調査に基づき、枠拡大に伴う住宅防音対策を検討するとともに、地域振興対策も検討を進める。年内には地域協議会を開催し、具体的な提案ができるように鋭意取り組んでいく。
北原議員 JR北海道では一昨年5月の石勝線列車脱線火災事故、今年3月の函館線送電トラブルが発生している。国内外の観光客が安心して旅行を楽しんでもらえるよう、改めてJR北海道に安全安定運行を求めるとともに、道運輸局へ働きかけを行う必要がある。どう対応する考えなのか。
高橋知事 重大なトラブルが相次いで発生したことは、道としても深刻に受け止めている。道では、JR北海道に対する監督権限を有する北海道運輸局に対し、技術的支援や一層の指導徹底を要請する。JR北海道には新たな執行体制のもと、運輸安全委員会からの勧告も踏まえた安全な運行の実現はもとより、設備の適切な管理や企業風土改革に向けた「ひざ詰め対話」など、安全基本計画を確実に実行することで、利用者の信頼回復に取り組むよう強く求める。
北原議員 道路や河川の機能を適切に維持していくことは、社会的な経費の軽減につながる。道路などの適切な維持管理に向け、どのように取り組んでいく考えなのか。
高橋知事 本年度は、冬期の低温の影響と思われる舗装の損傷が例年にも増して多く、春先の道路補修費用がかさんだことに加え、設計労務単価の引き上げを行ったことなどから、必要な費用の増加が見込まれる。こうした状況への対応を図るとともに、施設の長寿命化に取り組むなど、効率的な維持管理に努めながら、必要な予算を確保する。
北原議員 国は今年度の公共工事設計労務単価を改定した。公共工事における技能労働者の就業環境改善のため、この度の労務単価の引き上げを適切な賃金確保につなげることが重要だが、どのように取り組んでいくのか。
下出建設部長 労務単価の引き上げを踏まえ、例年実施している「建設工事下請状況等調査」のおける調査対象数の拡大や建設ホットラインを活用した賃金確保にかかわる取り組み状況の把握について検討を進めている。国の動向も踏まえながら、技能労働者の就業改善が図られるよう取り組む。
北原議員 平成26年度からの再任用義務化に向け、勤務形態や給与水準などの課題について、道としてどのように取り組む考えなのか。
的井総務部長 現在、勤務形態や給与水準などの勤務条件に加え、公務の能率的な運用の確保、組織活力の維持など、再任用のあり方を検討しており、50歳代職員を対象とした意識調査などを行っている。今後、雇用と年金の接続の観点に立ちながら、道の厳しい行財政環境、他県や民間との均衡も考慮し、再任用の義務化に向けて具体的な仕組み作りに取り組んでいく。
北原議員 野生鳥獣による被害が深刻さを増す中、積極的な対応が必要だ。今後道取り組むのか。
高橋知事 エゾシカについては、本年3月に捕獲推進月間を設け、広域的な連携のもと一斉捕獲に取り組んだ。アライグマは特定外来生物であり、捕獲を優先している。今後は捕獲効果を高めるため、生息状況をさらに把握し、市町村の取り組み拡大を強く働きかける。これらの野生鳥獣については、今後とも専門家の意見を聞きながら、積極的に被害防止に取り組む。
北原議員 今定例会の補正予算案には、メディカルウイングの今年度の運航に要する経費が計上されている。その目的と、今後の方針について伺う。
高田保健福祉部長 平成24年度までに研究運航を終えることにしていたが、昨年度の大雪による悪天候などの影響で2カ月間運航が中止になり、改めて必要な症例確保のため、7〜9月に研究運航を実施する。この事業は全国初の取り組みでもあり、全国的な視点を含めて事業実績の検証を行い、航空機を活用した患者搬送の効果や課題について、国へ報告する。
北原議員 道立北見病院と北見赤十字病院の医療機能の集積と連携を図り、一体的な医療提供体制を整えるとともに、高度専門医療の充実、患者利便の向上などを図る上からも、速やかに道立病院を赤十字病院の隣接地に移転するべきだ。
高橋知事 道立北見病院と北見赤十字病院の一体的な医療提供体制を構築するための高度医療拠点の整備に向け、両病院の機能分担をはじめ、医師の応援体制や整備用地など、具体的な連携方策について関係先との協議を加速し、道立北見病院がその機能を最大限に発揮できるよう積極的に取り組む。
北原議員 道内では平成24年3月以降、違法ドラッグによる中毒症状で救急搬送された事例が48件50人に上る。道が昨年12月に道内の中高生を対象にした喫煙と飲酒に関する調査によれば、喫煙経験がある中学1年生は2・9%、高校3年生は7・9%、飲酒経験は中学3年生で34・9%、高校3年生で38・9%となっている。知事、教育長はこれらの調査結果をどう受け止め、どのように対応する考えなのか。
高橋知事 中高生の違法ドラッグの使用や喫煙、飲酒の状況については深刻に受け止め、社会全体で防止しなければならないと認識している。中学・高校の薬物乱用防止教室への講師派遣、保健所による学校での喫煙・飲酒に関する出前講座の実施、北海道青少年健全育成条例に基づくカラオケボックスなどへの立ち入り調査などを積極的に推進していく考えだ。
立川教育長 この度の国と道の調査から、違法ドラッグが中学生の身近に存在し、たばこ・アルコールを家族に勧められたケースが相当数見られるなど、これまで以上に危機感をもって取り組む必要があると認識している。学校・家庭・地域が一体となった取り組みを一層強化する。
北原議員 国では成長戦略として6次産業化市場の拡大や農業農村所得の倍増を打ち出し、農林水産業・活力創造本部を設置したが、知事はこのような国の動きにタイミングを合わせ、具体的にどのような政策を提言し、反映させようとする考えなのか。
高橋知事 国は「攻めの農業」として、生産現場の強化や輸出拡大、生産と消費をつなぐバリューチェーンの構築などについて、検討を進めている。道は、国の動きを踏まえ、食産業立国・北海道の実現に向け、生産力、競争力、地域力を強化する観点から、必要な施策を検討し、今月上旬、国などに働きかけを行った。北海道農業の持続的発展や食の総合産業の形成に向けて、さらに検討を深めながら、しっかりと本道の考え方を伝え、国の施策に反映させたい。
北原議員 厚生労働省は7月1日から、と畜牛に対するBSE検査を48カ月齢超とすることを各都道府県に通知した。改正施行時期を目前に控え、道民や関係団体に意見などを総合的に勘案して、知事としての結論を示す必要がある。
高橋知事 ほとんどの自治体が全頭検査を廃止する方向で検討を進めている状況にある。こうした中、道民や関係者の意見を踏まえるとともに、牛肉の全国的な流通や消費に大きな役割を担う、わが国最大の産地・北海道としての責務を果たしていくといった点も総合的に勘案し、BSE検査を見直していく。
北原議員 平成22年にいわゆる6次化法が制定され、現在道内では86件の事業が認定されている。しかし、6次化という言葉を見聞きするわりには、具体的な事業の成果を目にすることが少ない。農林水産業の6次化をどのように進めるのか。
北村農政部食の安全推進監 道が昨年度行った調査では、6次産業化の取り組みを進めるにあたっては、労働力不足や黒字化達成までの期間の長さ、集客確保、販路開拓の難しさなどの課題が確認された。課題に的確に対応し、幅広い取り組みが各地で展開されるよう、地域の農林漁業者と2次、3次事業者とのネットワークを広め、人材の育成や新商品開発などを支援する。6次産業化サポートセンターによる事業計画づくりの支援や、ファンド活用の促進などの取り組みを総合的に進める。
北原議員 道内では平成21年度以降、33地域で磯焼け対策事業が行われている。現在は限られた範囲で点として行われている対策を、磯焼けに悩むすべての海域で実施し、さらなる効果を目指した取り組みを進めるべきだ。
高橋知事 磯焼けが進んでいる多くの地域で効果的な取り組みが継続的に実施できるよう、道総研や大学と連携し、魚の加工残さなどを利用した低コストの栄養塩の添加技術の開発や、簡易なウニの除去技術の普及などを進めるとともに、漁業者が行う藻場保全活動を支援するなど、積極的な展開を図り、水産資源の維持、増大に努める。
北原議員 来月には参議院議員選挙が行われるが、昨年の総選挙など最近の選挙結果を踏まえ、投票率の向上を含め、参院選にどう取り組むのか。
高橋選挙管理委員長 若年層の投票率の向上を図るために、最善を尽くして効果的な啓発事業に、これまで以上に取り組む。今回の選挙はインターネットを使った選挙運動を解禁する公職選挙法の改正後、初めて実施される選挙だ。インターネットを正しく利用し、ルールを守った選挙運動が行われるよう万全を期す。市区町村選管をはじめ、関係機関・団体との連携をされに深めながら、周到な準備を行うとともに、最新の注意を払い、選挙の適正な管理執行に向けて、最大限職務を果たす。
北原議員 4月の文教委員会でわが会派の委員が、学力向上を図るためには、学校・家庭・地域がそれぞれの役割を認識し、道民一人ひとりが当事者意識を持って子どもたちの学力を育むことが重要であり、道民運動を展開すべきだと提案した。どのように進める考えなのか。
立川教育長 議会での提案を踏まえ、道民運動に取り組む。近日中に知事と教育長の連名のメッセージを地域住民、保護者、児童生徒に発信し、経済界、まちづくり団体にも幅広く呼び掛ける。また、家庭学習や運動の時間に関する分かりやすい目安を示すなどして、子どもたちや保護者が意欲を持って取り組むことができるよう、積極的に推進する。
高橋知事 学力や体力が全国に比べて低い状況にあり、危機感を持って受け止めている。道としても、学力・体力向上運動を道民一体となって進めていくため、道教委と連携しながらメッセージを発信し、各種講演会を開催する。
北原議員 道立学校267校のうち、毎日国旗を掲揚しているのは137校で、130校は入学式や卒業式、祝日にのみ掲揚している。全ての道立学校で毎日国旗を掲揚すべきだ。また、一部の市立学校では卒・入学式で国旗掲揚、国歌斉唱が行われていない。学習指導要領は市立学校の教育にも適用され、全ての学校で実施すべきだ。
立川教育長 日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てるとともに、児童生徒が将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくためには、児童生徒に国旗に対して正しい認識を持たせ、それを尊重する態度を育てることは重要だと考えている。現在、道立学校では半数程度で、毎日国旗の掲揚が行われているが、設置者として全ての道立学校毎日掲揚するよう徹底する。
高橋知事 学習指導要領では、入学式、卒業式で国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとされている。その趣旨に基づき、私立校においても実施されるべきものと考えており、研修の場を活用するなどして周知徹底を図る。
■ その他の一般質問(自民党・道民会議) ■
□野原 薫議員(北広島市)