●平成23年第3回定例道議会自民党・道民会議代表質問・答弁要旨

自民党・道民会議 高木 宏壽 議員

komatsu


知事が泊問題は丁寧、慎重にと答弁

 昭和35年生まれ。慶応大法学部卒業。米国ウエスタンワシントン大学MBA取得。北海道拓殖銀行を経て、道警に入り札幌方面警察署刑事課長。平成19年北海道議会議員に初当選、2期目。道議会総務常任委員会理事、同産炭地域振興・エネルギー問題調査特別委員会副委員長、道議会自民党・道民会議政策審議筆頭副委員長。

 平成23年第3回定例道議会は9月13日招集され、10月7日まで25日間の日程で、総額257億8,274万円の一般会計補正予算案などを審議した。自民党・道民会議は高木宏壽議員が代表質問に立ち、泊原発1、2号機の再稼働、原子力防災計画、水資源保全条例、性被害防止、エゾシカ対策、食産業の振興、人権教育、高齢者交通事故対策など道政上の課題を、知事、教育長、道警本部長にただした。

野田新政権にどう臨むのか

1、知事の政治姿勢について


(1)野田新政権への対応について
高木議員 野田総理の財政重視の姿勢に対し、公共事業や道新幹線などで懸念の声が上がり、北方領土問題やTPPでも対応が不透明だ。知事は野田新政権に何を期待し、どう臨むのか。
高橋知事 大震災からの本格的な復興や福島原発事故への対応、効果的な円高対策、北方領土問題をはじめとする外交問題など、直面する諸課題の解決に向け、国の総力を挙げて取り組むことを期待する。本道の地域経済は厳しさを増しており、実効ある経済・雇用対策を早急に講じてほしい。TPPや新幹線など本道への影響が特に大きな重要課題は、確固たる姿勢で国に対し積極的な提案・要請を行う。

泊1、2号機の再稼働への方針は

(2)泊発電所1、2号機の再稼働について
1、いわゆる「やらせ」問題について
高木議員 プルサーマル計画や3号機増設にかかわる北電の対応については、道の判断が求められるが、どう対応するのか。
高橋知事 プルサーマルに関するシンポジウムや3号機増設に関する「道民のご意見を聴く会」で、北電が地元住民に働きかけをするなど、道民が疑念を生じることになったのは、誠に残念で遺憾だ。北電が設置した第三者委員会の調査結果の報告などを踏まえて、適切に対応する。

2、泊発電所1、2号機の再稼働について
高木議員 国の方針が揺れ動き、いわゆる「やらせ」を繰り返す北電への信頼が損なわれている状況で、泊1、2号機の再稼働についてどのような方針で臨むのか。
高橋知事 原子炉の再稼働に当たっては、丁寧な手続きと慎重な判断のもとに取り組まれるべきだ。国からの詳細な説明や原子力を専門とする学識者の助言などを得ながら、地元四町村と協議を行い、道の考え方を整理し、対応する。

町村と連携体制をどう構築するのか

(3)原子力発電に関する情報共有について
高木議員 知事は特別委員会で、後志管内の自治体と一層の意思疎通を図るために、連携体制の構築に向けて検討すると答弁したが、どのように取り組んでいるのか。
高橋知事 早期に実務者レベルの会議を実施するとともに、市長村長との意見交換の場を設定し、安全対策や道の対応、国の動向など、幅広く情報を共有し共通理解が図られるよう取り組む。庁内に副知事を座長とする北海道原子力・エネルギー政策連絡会議を設置して、関係部署の情報共有や連携強化に努める。

地元理解を得て計画の見直しを

(4)原子力防災計画の見直しについて
高木議員 原子力防災計画の見直しに際しては、地元4町村はもとより周辺自治体との理解を得ながら取り組むべきだ。
高橋知事 有識者専門委員会を設置してEPZ避難道路などさまざまな課題について検討している。国の防災指針見直しにかかる中間とりまとめに反映できるよう、11月中にも報告書として取りまとめたい。その過程で後志管内の市町村の意見を伺う。今後の国の原子力防災指針などの策定状況に合わせ、原子力防災計画の抜本的な見直しを行うが、その際には対象自治体と十分な協議を行う。

振興局の防災体制強化が求められる

(5)振興局の防災体制の強化について
高木議員 道の地域防災計画の見直しに当り、地域ごとの防災対策の見直しが必要だ。直接住民と接する市町村の声をより反映させるためにも、振興局の防災体制の強化が求められる。
高橋知事 大規模災害が広域で発生した場合の、初動体制の強化や市町村との連携などについては、これまで以上の対応が必要。市町村と連携し、地域特性を踏まえた訓練や備蓄、広域相互支援に関する計画を策定するなどの取り組みを進めるため、各振興局の防災体制の強化について検討を進める。

地域経済は厳しい状況にある

2、道政上の諸課題について

(1)本道経済の現状認識などについて
高木議員 日銀札幌支店は、本道経済は全般的には持ち直しの傾向が見られるとしているが、国や自治体予算の縮小、観光客減少、円高などで地域経済はかつてない厳しい状況にある。本道経済の現状をどう認識し、対応していくのか。
高橋知事 地域では、宿泊業で売り上げが回復しておらず、建設業と関連製造業では先行き不透明感が強い。倒産する地場企業もあるなど、極めて厳しい状況にあると実感している。中小企業の経営安定と雇用の維持確保に向けて、さらなる施策展開を図るとともに、国の補正予算も効果的に活用しながら、最善を尽くす。

新たなビジョンにどう取り組むのか

(2)経済政策について
高木議員 道は「経済活性化戦略ビジョン」を継ぐ「新たな産業振興ビジョン」を年内に策定するとしているが、これまでの経済政策をどう分析・評価し、今後どう取り組んでいくのか。
高橋知事 平成20年秋からのさまざまな経済変化などもあり、目指す姿である自立型の経済構造に向けては道半ばの現状。施策の効果についてよりきめ細かな分析・評価を十分に行う。年内に策定する新たなビジョンでは、「食の総合産業化」「環境・エネルギー産業の振興」「魅力ある観光地づくり」などを柱に据え、これまで十分といえなかった経済効果の分析・評価を行い、本道経済の活性化を目指して施策展開する。

収支不足対策をどう検討するか

(3)道の財政運営について
高木議員 収支見通しによれば、平成24年度以降においても収支不足が生じ、調整必要額が拡大するとみ込まれている。道民生活への影響を抑えつつ、収支不足対策をどう検討していくのか。
高橋知事 道財政は来年度以降も厳しい状況が続く見通しにある。道税や地方交付税などの一般財源の確保はもとより、義務的経費、一般施策事業を問わずあらゆる歳出についてさらなる見直しを行う。収支不足の解消に向けた取り組みの方向性を年内にも明らかにした上、平成24年度の当初予算編成までに必要な対策を取りまとめる。

給与と職員数は併せて考慮を

(4)人件費について
高木議員 今年度までの給与の縮減措置は、道財政の現状からすれば引き続き取り組まなければならない。職員数の削減は、年齢構成が著しく偏るため、新規採用を前倒しして行うべきだ。給与と職員数のあり方を併せて考慮する必要がある。
高橋知事 平成20年度に策定した「新たな行財政改革の取り組み」では、職員給与の縮減措置は今年度末で終了する。職員数適正化計画は平成26年度まで取り組む。今後の取り扱いについては、年内にも方向性を明らかにする。

本庁舎耐震化の目途と進め方は

(5)道本庁舎の耐震化について
高木議員 本庁舎の耐震化をいつまでを目途に、どのように進めるのか。
高橋知事 できるだけ早期に完成させたいと考えている。他の耐震化工事の実績が4年程度の工期を要していることや、「北海道耐震改修促進計画」の期間を踏まえ、その最終年度である平成27年度の完了を目指して取り組む。

事前届け出の目的と考え方を示せ

(6)水資源保全条例について
高木議員 水資源保全地域の指定について、市長村長の提案がなければ指定できない地域が出てくると考えるが、どのような方針で臨むのか。事前届け出の目的、考え方についても伺う。
高橋知事 指定の際には、地域の実情に十分配慮する必要があり、市長村長から提案してもらう仕組みを考えている。道が特に必要があると認める場合は、関係市町村と協議の上、指定できるとする規定も検討している。事前届け出制は間伐などの計画的な森林施業を制約するものではなく、水源周辺の適正な土地利用を誘導しようとするものだ。

フォーラムにどう臨むのか

(7)成熟社会総合フォーラムについて
高木議員 来月にもフォーラムが設置される。道は成熟社会の実現に向けた課題をフォーラムに提示する必要があると考えるが、どのように臨むのか。
高橋知事 フォーラムは年3回程度の開催を想定している。医療・福祉、経済・雇用など地域が直面している厳しい状況や、関連する政策の現状・課題について有識者に示し、活発に論議してもらう。

増加する性被害をどう受け止めるか

(8)児童生徒の性被害防止について
1、被害に対する認識について
高木議員 道警によると児童ポルノの摘発件数(1〜7月)は、昨年同期より23件多い44件、被害児童数も昨年同期を10人上回る24人となっている。このような事態をどう受け止めるか。
高橋知事 児童ポルノを撮影することや、公開・売買すること自体が卑劣な犯罪であり、絶対に許されるものではない。社会全体でその根絶に取り組まなければならない。道警や道教委などと連携しながら、児童ポルノを排除・根絶するための啓発資料を市町村に配布するなど、性被害防止に向けた諸対策を積極的に講じる。

2、携帯のフィルタリングについて
(1)道の取り組みについて
高木議員 警察庁の調査では、フィルタリングを利用している本道の高校生の割合は34.6%にすぎない。道としてどのように取り組んでいるのか。
多田副知事 「北海道青少年有害情報対策実行委員会」で周知の徹底に取り組むとともに、事業者に対しても保護者に対するフィルタリングの提供に努めるよう要請を行う。すべての携帯電話販売所を対象に立入調査を実施しており、子どもたちが犯罪に巻き込まれることのない、安全で安心な環境づくりにしっかり取り組む。

(2)道教委の指導などについて
高木議員 小・中・高校生が使っている携帯電話やパソコンなどのフィルタリング利用について、道教委はどのように指導し、状況を把握しているのか。
高橋教育長 平成21年度に道内の公立学校の児童生徒、保護者約4万3,000人を対象にした調査では、小学校80.5%、中学校58.7%、高校29.6%だった。本年1月に啓発資料を、札幌市を除く公立中学校のすべての家庭に配布し、電気通信事業者にフィルタリング設定促進を強く要請した。

目標達成で関係者と連携強化が必要

(9)エゾシカ対策について
1、捕獲目標の実現について
高木議員 昨年のエゾシカ捕獲数はおよそ11万頭で、目標の11万5,000頭には達しなかった。今年度は15万7,000頭の捕獲目標を掲げているが、どのような取り組みを進めるのか。
高橋知事 狩猟解禁日を10月1日に繰り上げ、オスジカの捕獲頭数を11月末まで無制限とする規制緩和措置により、2万頭以上の捕獲増加を目指す。日高管内では地域づくり総合交付金を活用したハンターの処遇改善に向けた取り組みが進んでおり、全道に拡大するように働きかける。さらに、シャープシューティングによる効率的な捕獲や、「くくり罠」などさまざまな対策を講じ、4万8,000頭の上積みを図る。

2、自衛隊等との連携について
高木議員 捕獲目標を達成するためには、昨年度以上に関係機関や団体との連携・協力を図る必要があるが、どう進めるのか。
高橋知事 本年2月、自衛隊等の協力を得て、全国で初めてエゾシカの捕獲を試みた。本年7月に自衛隊のさらなる協力を得られるよう、直接、防衛省に要請を行った。本年度は短期間でより効果的な捕獲が可能となるよう、自衛隊や地元猟友会、市町村などの関係機関と連携・協力を強化するため、具体的に協議を進める。

3、次期保護管理計画について
高木議員 生息頭数をより正確に把握し、適正な個体数管理に向けた捕獲目標の設定とその実現を図るため、どのように実効性を確保しようとするのか。
多田副知事 次期計画の策定に当たっては、生息数のより正確な把握に努めるとともに、今後五年間の地域ごとの捕獲目標を設定し、カリング・モデルなど効率的な捕獲手法の導入、担い手の育成、シカ肉処理や有効活用にかかわる体制整備の促進など、各般の対策を盛り込む。

条例は本道の実情を踏まえたものに

(10)がん対策条例について
高木議員 道内のがん診療連携拠点病院の整備状況は、空白となっている2次医療圏が12圏域と半数を超えている。条例の制定に当たっては、本道のさまざまな事情を踏まえた実効性にあるものにすべきだ。
高橋知事 本道は、がん対策を進める上で、喫煙率が高い、肺がんや大腸がんの検診受診率が低い、専門の医療機関が都市部に集中しているなどの課題がある。喫煙や食事など生活習慣の改善、ワクチンの接種、受診機会の確保による早期発見の推進、治療体制の整備など、本道の特性を踏まえた施策を盛り込むなど、がんに負けない社会の実現を目指して、実効性のある条例づくりに努める。

医療費の増すうに適切な対応が必要

(11)医療費の抑制について
高木議員 本道の医療費の地域差指数は、全国を一とした場合、1.78と全国で2番目に高い。医療費の増すうに対して適切な対応が求められる。
高橋知事 本道は高齢者の単身世帯が多く入院期間が長い、生活習慣病の入院患者が多いことなどから、全国平均に比べて医療費が著しく高く、適正化対策を着実に進めていくことが重要だ。今後は、更なる医療費の適正化に向け、医師会など関係団体や市町村、協会けんぽなどの保険者との連携を強化し、取り組みを積極的に推進する。

障害者の選挙権で国と協議すべきだ

(12)障がい者対策について
高木議員 四月の統一地方選で、両手足に重い障害を抱える20歳の青年が、初めての選挙権を行使できなかったという出来事が報道された。必要であれば国の関係機関とも協議するなど、公職選挙法が活かされるようにすべきだ。
高橋知事 結果として選挙権を行使できなかったことは残念に思う。道選挙管理委員会とも連携し、障害者が一人でも多く投票することができるような方策を検討するとともに、対象要件の見直しを国と協議するなど、投票環境の整備に取り組む。

センターの設置で医療機関の意向は

(13)認知症対策について
高木議員 認知症疾患医療センターの本格実施に向けた調査で、医療機関からどのような意向がしめされたのか。モデル事業の検証や調査結果を踏まえ、今後どのように取り組むのか。
高橋知事 道内の86精神医療機関を対象に調査を行った。設置基準を満たす・満たす見込みがある医療機関は21で、そのうち19から設置意向が示された。モデル事業の検証結果や医療機関の意向を踏まえ、高齢者人口など地域バランスにも考慮しながら、今年度中に設置方針を策定し、センターの設置に向けて取り組む。
ロードマップに行動計画を入れよ

(14)再生可能エネルギーについて
高木議員 道は、エネルギーのあり方について将来を見据えた論議ができるよう、再生可能エネルギーの導入コストや出力安定化などの課題に関する情報を道民に示すとともに、取り組むべき課題と解決に向けたロードマップを、「省エネルギー・新エネルギー促進行動計画」に盛り込むべきだ。
高橋知事 導入コストの低減や安定した出力の確保など解決すべき課題もあり、短期間で供給を大幅に拡大するには難しい面がある。中長期的な視点に立って主要なエネルギー源の一つになるよう、着実に取り組んでいくことが重要。「省エネ・新エネ促進行動計画」で、課題解決に向けて必要な施策や期間などをロードマップとして盛り込み、進捗状況を公表する。

食加研の体制強化にどう取り組むか

(15)食産業振興への取り組みについて
1、食産業への取り組みについて
高木議員 道は「食の総合産業化と食産業立国の形成」を柱の一つに据えた産業振興ビジョンを検討しているが、推進上の課題をどう認識して今後取り組んでいくのか。
高橋知事 食品工業の付加価値率が全国平均を下回り、食関連の活動が企業や地域に留まっていることが多い。生産から消費までの戦略的な取り組みを強化する必要がある。新たな食品の開発、販路拡大に努めるとともに、「食の総合産業化」を進めており、「サケ節プロジェクト」では具体的な成果も出ている。食クラスター活動をさらに強化し、新たに策定する「産業振興ビジョン」の中で、食クラスターや特区構想など食産業振興に関する取り組みをしっかりと位置付ける方向で検討する。

2、食品加工研究センターの体制強化について
高木議員 食品加工研究センターには企業からの技術相談が数多く寄せられ、開発技術の普及や技術支援の一層の取り組みが求められている。体制強化にどう取り組んでいくのか。
高橋知事 昨年の設立以降、食品化学や食品加工を専門とする研究職員を新たに採用するとともに、試験場間の連携強化に取り組んでいる。新たに策定する「産業振興ビジョン」でも食産業の振興を施策の柱に掲げる方向であり、企業からの相談に的確に対応し、食関連産業の振興に一層寄与できるよう、今後とも積極的に支援する。

信頼ある道産牛肉のブランド確立を

(16)農業問題について
1、米の先物取引と米価の安定について
高木議員 農林水産大臣は8月8日に関係者の声を無視して、米の先物取引の試験上場の認可を強行した。これまでの状況と米価の安定についてどう認識しているのか。
高橋知事 現在は生産者や卸売業者の参加が少なく、先物取引は低調なまま推移していると認識している。現時点では米の現物市場への影響は少ないが、投機的な取引の影響で生産や流通に混乱を招くことを懸念している。今後とも動向を注視し、生産者や消費者が心配することのないように対応する。

2、肉用牛の生産振興について
高木議員 本道は黒毛和牛生産の歴史が浅く、市場では劣勢に立たされている。消費者から信頼の得られる道産牛肉のブランドの確立を、どのように図る考えなのか。
高橋知事 肉専用種の飼育頭数の割合は全体の四割程度にとどまっており、黒毛和牛種の生産振興に向けて、道産牛肉のブランド化を推進することとしている。牛肉のおいしさに関係する脂肪であるオレイン酸を多く含む、付加価値の高い牛肉を「プレミアム牛肉」と位置付け、生産者や関係団体と一体となって開発に取り組む。

増加するトド等による漁業被害

(17)トド等による漁業被害について
高木議員 昨年度のトドによる漁業被害は五年ぶりに15億円を超えた。オットセイやアザラシによる漁業被害も近年は五億円を超えている。トド等による漁業被害対策についてどのように取り組むのか。
高橋知事 日本海などの漁業者からは、これまでの対策のみでは漁業経営が成り立たなくなり、被害そのものに対する補償を求める声も多くある。漁業系統団体と連携して、今年度開始された漁業所得補償制度を検証する中で、抜本的な対策について検討し、国に強く働きかけるなど、漁業者の経営安定に努める。

空港ビルなどの収支情報は不可欠

(18)空港運営のあり方について
1、対応方針について
高木議員 国の「空港運営のあり方に関する検討会」の報告には、道の主張もあり、国管理空港だけではなく、地方管理空港も合わせた一括運営についても付言している。道として道内空港のあり方について、どのような方針で臨んでいく考えなのか。
高橋知事 広大な面積を有する本道では、それぞれの空港が観光振興、経済活性化、地域生活で大変重要な役割を果たしており、航空ネットワークを確保していくことが不可欠だ。道内空港の一体運営を含め、本道の空港運営のあり方について、早急に検討を進めるなど道内空港の機能が確保されるよう、しっかり対応する。

2、今後の進め方について
高木議員 今後、関係自治体や空港ビル会社などの関係者の意見を聞いていく必要があると考えるが、どう取りまとめていくのか。
高橋知事 国は来年夏頃を目途に「空港経営改革の実行方針」を策定し、関係自治体から十分に意見を聴取した上で検討を進めることとしている。今後、地元自治体や空港ビル会社などからの意見を聞くとともに、庁内関係部によるワーキング・グループを設置し、「空港に関する有識者懇談会」を設けて論議を深め、年度内にも道の考え方を整理して、国の動きを踏まえて対応する。

3、検討の進め方について
高木議員 空港運営の議論を進める上で、運営問題の前提となる空港ビルなどの収支に関する情報は不可欠だ。公表すべきと考える。
高橋知事 滑走路などの基本施設に加え、空港ターミナルビルや駐車場などの施設を含めた空港全体の収支については、空港運営の状況を把握する一つの指標として重要だ。道が管理する空港については、空港ビル会社などの収支について、道が公表している滑走路などの基本施設の空港別収支と併せて公表する。

B/Cで計れない道路事業の評価を

(19)道路事業の評価について
高木議員 道路事業の新規採択は、B/C(費用便益比)が1.0以上であることが前提条件になっている。災害時の代替性や救急医療確保といったB/Cでは計り得ない道路の機能・効果についても、道路事業の評価に反映すべきだ。
高橋知事 B/Cは総じて交通量の多い路線のほうが高くなる傾向にあり、交通量によらない多様な効果を考慮するなど、多面的に評価することが必要と認識している。国も昨年度から防災機能など安全・安心の観点から評価を見直す作業に着手し、今回の大震災を踏まえ早急に検討を進めている。道として、国の見直し作業の状況を踏まえ、新たな評価手法について検討を進める。

点検・評価はさらに公表を

3、教育問題について

(1)北海道教育委員会の活動状況に関する点検・評価について
高木議員 道教委が報告した「平成22年度北海道教育委員会の活動状況に関する点検・評価」に資料として「データの管内別内訳」が新たに記載された。今後の教育行政に積極的に活用し、学校、家庭、地域が一体となった取り組みが進むよう、必要なデータ情報のさらなる公表が必要だ。
高橋教育長 今回の報告書には、確かな学力の向上、読書活動の推進といった施策ごとの目標指数について、全道平均、14管内別データを可能な限り盛り込む改善を行い、地域間の格差が明らかになった。課題や危機意識を共有できるよう、来年度以降は、必要なデータを管内ごとにしっかり分析した上で、より一層適切な形で公表し、施策の改善・立案に生かしたい。

拉致問題DVDを積極的に活用せよ

(2)人権教育について
高木議員 全国的にDVDアニメ「めぐみ」の活用状況が芳しくないと聞く。拉致問題に対する正しい理解が図られるよう、このDVDの積極的な活用を図るべきだ。
高橋教育長 札幌市を除く道内公立学校で、平成22年度末までにDVDを活用した学校は全体の20.7%。本年6月に各道立学校と市町村教委に、活用するように改めて通知した。拉致問題の理解や人権教育の一層の充実を図るため、高校では国際政治や国際社会などの学習の際に、小中学校でも発達段階を踏まえた活用を働きかける。

いじめの防止には心理テスト活用を

(3)いじめ問題について
1、調査結果について
高木議員 道教委は今年度から、札幌市を除く公立学校の児童生徒を対象に、年間2回、独自にアンケート調査を実施しているが、結果はどのようになっており、どう対応しているのか。
高橋教育長 本年5月の調査では、4、5の2カ月間の認知件数は、小中高校・特別支援学校で合わせて1,394件。6月末現在でそのうち25.8%が解消していない。アンケート調査の複数回の実施などを通し、いじめの未然防止、早期発見・早期対応に全力で取り組む。

2、心理テストなどの活用について
高木議員 いじめを受けている子どもの中には、親や友達にも相談できないケースもあると聞く。心理テストを活用することも有効ではないか。
高橋教育長 現在、モデル的に実施しているアンケート調査に加え、精神的な安定度を測定できる独自の生活アンケート調査を、北海道医療大学と共同で開発している。本年度、試行を行い、平成24年度には道内の各学校で活用できるように鋭意取り進める。

命令の取り消しを求めた理由は何か

(4)労働委員会命令への対応について
高木議員 道は道労働委員会の命令に対し、札幌地裁に取り消しを求める訴えを起こしたが、どのような問題があると考えて提訴したのか。
高橋教育長 公務員の争議行為への参加は、関係法令で全面一律に禁止されており、今回の戒告処分は適切と考えている。過去の同様の救済命令にかかわる最高裁までの裁判においても、道教委の行った処分が不当労働行為ではないと判断され、救済命令が取り消された。この度の労働委員会の命令は受け入れがたい。

北教組の議案書精査の結果を示せ

(5)北教組の活動について
高木議員 道教委は、「北教組の定期大会議案書に事実と異なる記載があれば、改めて抗議し強く是正を求める」としているが、内容を精査した結果はどうだったのか。
高橋教育長 今年度は、昨年指摘したにもかかわらず同一記述のままとなっているものが26カ所、表現は変更しているが事実と異なるものが11カ所、問題にある記述も新たに6カ所あり、全体で43カ所の問題点が判明した。誠に遺憾だ。北教組の代表者を呼んで抗議するため、過日、通知した。今後とも毅然とした態度で対応する。

高齢者交通事故の防止策は

4、公安問題について

(1)交通問題について
高木議員 今年8月末までの交通事故死者数は昨年に比べて減少しているが、例年、下半期に交通死亡事故が増加する傾向にあり、特に高齢者がかかわる事故が多発している。高齢者を事故から守るため、どのように取り組むのか。
殿川道警本部長 本年の道内の交通死亡事故の死者数は、5月までの5カ月間で45人だったが、8月までの3カ月間で61人が犠牲になっている。そのうち65歳以上の高齢者は45人と約4割を占めている。
 従来から高齢者事故防止対策として、高齢歩行者、自転車利用者に対する夜光反射材の直接貼付活動や参加・体験・安全型の安全教育などで安全意識の高揚に努めている。本年は特に、運転免許証自主返納者への交通運賃割引制度、昼間の買い物優遇制度、交通安全ひと声運動などを推進している。
 今後は高齢者保護を目的とした夕暮れ時間帯や夜間を重点とする交差点での指導取締り、パトカーの赤色灯を点灯するレッド警戒活動、街頭での高齢者への声掛けを重点として取り組むほか、「高齢者交通事故防止連絡協議会」と連携した高齢者訪問活動の活性化を図るなど、対策を強力に推進する。

■ 自民党・道民会議の一般質問項目 ■

□梅尾要一(千歳市)
一、東日本大震災を踏まえた防災体制の強化や自衛隊との連携について
一、自衛隊の体制維持・拡充について
一、空港運営のあり方について
一、高等養護教育の充実について

□川畑 悟(室蘭市)
一、本道経済の活性化に向けた取組について
一、観光産業の活性化について
一、競馬産業の活性化等について
一、新エネルギーの取組について

□花崎 勝(札幌市厚別区)
一、地球温暖化対策の推進等について
一、災害時における要援護者支援対策について
一、道産食品独自認証制度について
一、本道農水産物の安全・安心の確保について
一、学力向上について

□村木 中(岩見沢市)
一、農業問題について
一、一般廃棄物の処理に係る市町村間の相互支援協定について
一、建設業の振興について

□吉田祐樹(札幌市豊平区)
一、中小企業・雇用対策について
一、北東北三県・北海道ソウル事務所について
一、地域商業の活性化対策について
一、修学旅行の誘致等について
一、道内高校生の学力について

□道見重信(札幌市北区)
一、北東アジアターミナル構想について
一、スポーツ振興について
一、信頼される学校づくりについて
一、行政改革と人件費削減について
一、原子力発電に関する政治姿勢と代替エネルギーについて
一、農業の強化策について 

□東 国幹(旭川市)
一、保育行政について
一、消費者行政について
一、心のカウンセリングについて
一、特別支援教育について

□松浦宗信(根室市)
一、広域事務の検討について
一、道税収入の確保について
一、檜山振興局の耐震改修について
一、北方領土問題について
一、野鳥観察を活用した観光振興について

□船橋 利実(北見市)
一、IT部門のBCPの策定等について
一、地域づくり総合交付金について
一、JR貨物列車の存続について
一、医療に関する事業税非課税措置の存続について
一、介護報酬の見直しについて
一、高齢者110番について
一、中小企業振興策について
一、HACについて
一、交通安全施設の維持・更新について