ごあいさつ

岐路に立つ地域公共交通
道内交通網の整備・維持に全力

令和6年4月

自民党道連会長
中村 裕之

 3月16日、北陸新幹線の金沢―敦賀間が延伸開業しました。現地は観光客などでにぎわい、能登半島地震で大きな被害を受けた北陸地方における久しぶりの明るい話題となりました。

 2030年度末開業予定の北海道新幹線の札幌延伸については、トンネル工事や建設費高騰などの影響で工期の遅れが取り沙汰されていますが、国際リゾート地ニセコをはじめ、道内各地に国内外から人を呼び込み、新たな発展へと導くための重要な社会資本であると確信しております。一日も早い開業の実現と各駅の周辺整備に向けて全力で取り組みを進めてまいります。

 交通ネットワークの整備は人やモノの流れを変え、地域に経済効果をもたらします。先ごろ道内でも高速道路2区間の新規事業化が確実になり、本道の総合交通体系の確立に向けて、また一歩前進いたしました。

 倶知安―ニセコ間(全長11・7㌔)については、ニセコ地域と新千歳空港を結ぶアクセス向上のほか、医療施設への救急搬送や災害時の輸送力強化にも期待が高まっています。女満別空港―網走呼人間(同10・9㌔)は、開通済みの美幌バイパスを北側に延伸する計画で、タマネギなどの農水産物を札幌圏や本州などの消費地へ運ぶのが主な目的です。

 一方で、地域の公共交通は岐路に立たされています。

 まず、厳しい経営が続くJR北海道でありますが、新年度からの3年間で1092億円もの国からの支援を確保することができました。その代わり、JR北海道が自力では維持困難とする赤字8線区については、この3年間で成果を上げていかなければ存続が難しい状況になります。

 現在の利用実態が「長距離・大量輸送」という鉄道の特性とかい離しているのであれば、利用者のニーズに合わせて運行経路やスケジュールを細かく調整できるデマンドバス等を導入する方が、むしろ、地域公共交通としての利便性は高まるかもしれません。輸送手段をトラックから鉄道や船舶に振り替える「モーダルシフト」や、観光利用、環境負荷低減、安全保障など、さまざま観点から鉄路の必要性を議論し、実態を見極めながら存続の可能性を追求してまいります。

 バス事業に関しては、運転手不足や燃油高騰などを理由に地方路線の廃止・短縮が続いており、札幌市内でもバス各社が減便を発表するなど、待ったなしの状況です。労働基準法改正により4月から運転手の時間外労働が制限されるため、今後さらに厳しい状況が予想されており、私も自民党バス議員連盟の会議において、赤字路線への補助金の算定基準を実態に即した適正なものにするよう発言いたしました。

 運転手の確保・育成に向けた支援強化をはじめ、外国人労働者の円滑な活用や、自動運転技術やスマホアプリを使った交通サービスの導入を進めるなど、公共交通を守るために引き続き全力で活動してまいります。


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